2022年2月25日金曜日

助動詞「そうだ」の識別


 ◆助動詞「そうだ」の識別


助動詞の「そうだ(そうです)」は、

「伝聞」と「様態」の2つの意味があります。





問 次の傍線部の「そうだ」の意味を答えなさい。

① 天気予報によると明日は雨が降るそうだ。 

② そろそろ桜が咲きそうだね。





【解答】
① 伝聞
② 様態




以下、順番に助動詞「そうだ」の識別を説明していきます。




◆助動詞「そうだ」の意味

① 伝聞
・他から聞いたという意味

② 様態
・そういう様子だという意味








① 伝聞

・ 天気予報によると明日は雨が降るそうだ 


「伝聞」とは、他から聞いた情報であることを表します。

例文では、自分の意見や体験にもとづく情報ではなく、

天気予報で聞いた情報であることを表しています。


このように、他からくから「伝聞」なのです。




② 様態

・そろそろ桜が咲きそうだね。


「様態」とは、そういう様子であることを表します。

例文では、

「見たところ もうすこしで桜が咲く」という様子

を表しています。


子や状を表すので、「様態」と覚えましょう。







◆「そうだ」の接続

「そうだ」は、表す意味によって接続が違います。


【伝聞】
活用語の終止形につく

・新しい家が建つそうだ。

・彼は帰りが遅いそうだ。

・試験の結果が心配だそうだ。




上の例文の「建つ」「遅い」「心配だ」は、すべて終止形です。

終止形とは「。」がつき、言い切る形でした。

「建つ。遅い。心配だ。」というように、すべて「。」がつきますね。


「。」がつく終止形につくのが「伝聞」


と考えるとよいでしょう。







【様態】
①動詞型活用の連用形につく

②形容詞と形容動詞の語幹につく

③助動詞「ない」「たい」の語幹相当部分につく






①・雨が降りそうだ。

 ・事件が起きそうだ


②・このお菓子がおいしそうだ。

 ・じつに元気そうな様子だ。


③・彼は知らそうだ。

 ・彼は話しそうな様子だ。




①の「降り」「起き」は、動詞の連用形です。

②の「おいし」は、形容詞「おいしい」、「元気」は形容動詞「元気だ」の語幹です。

③の「な」は打消の助動詞「ない」、「た」は希望の助動詞「たい」の語幹です。



②のように様態の「そうだ」は、形容詞の語幹につきますが、「ない」「よい」にかぎり、「なそうだ」「よそうだ」というように、語幹と「そうだ」の間に「さ」が入ります。



「彼は行かなさそうだ」という例がときどき見られます。

これは、打消の助動詞の「ない」の語幹に「さ」をつけているので間違いです。

形容詞の「ない」「よい」だけに「さ」がつくのです。

気をつけましょう。




以上のように接続はとてもまぎらわしいので、


・伝聞の「そうだ」は終止形(「。」がつく形)につく

様態の「そうだ」はそれ以外につく


と覚えるとよいでしょう。






◆助動詞「そうだ」の識別

①【伝聞】
 ・他から聞いたという意味
 ・終止形(「。」がつく形)につく

②【様態】
 ・そういう様子だという意味






以上、助動詞「そうだ」の識別でした。




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2022年2月24日木曜日

助動詞「ようだ」の識別


 ◆助動詞「ようだ」の識別


助動詞の「ようだ」は、比況(たとえ)・推定・例示の3つの意味があります。



問 次の傍線部の「ようだ」の意味を答えなさい。

① 彼はまるで魚のように泳ぐ。

② どうやら彼は知らないようだ 。 

③ 彼のようにまじめな人がよい。







【解答】
① 比況
② 推定
③ 例示




以下、順番に助動詞「ようだ」の識別を説明していきます。



◆助動詞「ようだ」の意味

① 比況
・あるものを別の似たものにたとえる意味
・「まるで~ようだ」といえる

② 推定
・不確かだが何らかの根拠に基づいて推測していう意味
・「どうやら~ようだ」といえる

③ 例示
・例をあげていう意味
・「たとえば~ように」といえる








①比況(たとえ)

・彼はまるで魚のように泳ぐ。


比況は、「たとえ」ともいいます。

あるものを似た別のものにたとえていうものです。

例文では、みごとに泳ぐ彼の様子を魚にたとえています。

「まるで~ようだ」と表現して意味が通じると、だいたい「比況」の意味だと思ってよいでしょう。




②推定

・どうやら彼は知らないようだ 


確実ではないけれど、推測して判断を下す表現を「推定」といいます。

例文では、何らかの根拠にもとづいて「彼は来ない」と推測しています。

たんなる推量と違って、何かしら根拠があって推測するのが「推定」です。

たとえば、

すでに集合時間を過ぎている
誰かから彼は来ないと伝言をきいている

などの、根拠をもとに推測するわけです。


「どうやら」などの不確かさを表すことばをともに使えることが、「推定」である目安になります。





③例示

・彼のようにまじめな人がよい。


あることをよく表している実物をあげるのを「例示」といいます。

例文では、「まじめな人」をよく表している人として「彼」をあげています。


「たとえば」をともに使っていえるばあいは、「例示」の意味だと思ってよいでしょう。








◆助動詞「ようだ」の識別


①【比況】「まるで~ようだ」という意味で、たとえる

②【推定】「どうやら~ようだ」という意味で、推測する

③【例示】「たとえば~ようだ」という意味で、例をあげる







以上、ようだの識別でした。





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2022年2月13日日曜日

助動詞「れる・られる」の識別


 




◆助動詞「れる・られる」の識別


助動詞の「れる・られる」は、受身・可能・自発・尊敬という4つの意味があります。




問 次の傍線部の「れる・られる」の意味を答えなさい。

① 友人に呼ばれる

② 五分で行かれる距離。 

③ 弟の身が心配される。 

④ 先生が教室に来られる。   






【解答】
 ① 受身
 ② 可能
 ③ 自発
 ④ 尊敬





以下、順番に「れる・られる」の意味の識別を説明しましょう。




◆助動詞の「れる・られる」の意味の識別

① 受身
・ 動作を受ける相手(「~に」)があるか、補える

② 可能
・「~できる」の意味を表す

③ 自発
・心情語に付き、動作が自然と起こることを表す

④ 尊敬
・尊敬すべき人が動作主である







① 受身

 ・友人に呼ばれる

「受身」とは、他から動作を受ける意味です。

「友人に」動作を受ける相手です。

「友人」から、「呼ぶ」という動作を受けています。


・クラスの代表に選ばた。

これも、動作を受ける相手「クラスの仲間たちによって」などを補うことができます。


こういう「れる・られる」は、「受身」を表しています。




② 可能
 
・五分で行かれる距離。 


「五分で行かれる」は

「五分で行くことができる」という意味です。



こういう「れる・られる」は、「可能」を表しています。




③ 自発

 ・弟の身が心配される。 


これは、「心配する」という心情語につき、「自然と心配してしまう」という意味です。


「自発」とは、

そうするつもりはないのに 自然としてしまう

という意味です。



「走る・投げる」などは、自然と起こりにくい動作です。

それに対して「思う・心配する・感じる」などは自然と起こりやすい動詞です。

こういう動詞を心情語といいます。

心情語は自発表現でよく使われます。





④ 尊敬

・先生が教室に来られる。 


「尊敬」の「れる・られる」は、尊敬すべき人の動作に使い、敬意を表す言い方です。

「来られる」という動作の主体(主語)は、「先生」です。


先生は「尊敬すべき人」です。


もちろん、世のすべての先生が尊敬すべき人かどうかはわかりません。


ただ、ここでいう「尊敬すべき人」とは、

表現のうえで敬意を払っている相手

ということです。


このように、「尊敬すべき人」「敬意をはらう相手」の動作に使われる「れる・られる」は「尊敬」を表しています。



助動詞「れる・られる」は、意味が4つもあります。

ただ、見分け方も分かりやすいためか、試験でよく問われます。



識別方法をしっかり学習しておきましょう。




◆助動詞「れる・られる」の識別

①【受身】動作を受ける相手(~に)がある

②【可能】「~できる」という意味

③【自発】心情語について自然とする動作につく

④【尊敬】尊敬すべき人の動作につく






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2022年2月12日土曜日

助動詞「ない」の識別


 

◆助動詞「ない」の識別



助動詞の「ない」は、打消(否定)という一つの意味しかありません。

ところが、「ない」には、他に形容詞の「ない」というものがあります。

助動詞と形容詞との識別が入試などでよく問われます。



問 次の傍線部を文法的に説明しなさい。

① 彼は本を読まない

② この本はおもしろくない

③ カバンの中に本がない

④ この本は切ない





【解答】
① 助動詞
② 補助形容詞(形式形容詞)
③ 形容詞
④ 形容詞の一部





以下、「ない」の見分け方を説明していきます。




助動詞「ない」は次の2つの見分け方があります。


◆助動詞の「ない」◆

①「ず・ぬ」で言いかえられる

②「ない」だけでは一文節をつくれない




助動詞「ない」は、ほかの打消の助動詞「ず・ぬ」で言いかえることができます。


たとえば、

彼は本を読まない


彼は本を読ま

彼は本を読ま



というぐあいです。



また、助動詞の「ない」は付属語ですから、それのみで一文節をつくれません。文節の区切りかた


「彼は本を読まない」という文を文節に分けると

彼は / 本を / 読まない

と3文節になります。

「ない」だけでは一文節をつくれません。




さて、次に②③④です。

これらは、どれも形容詞の「ない」です。



②は、助動詞と同じで打消の意味をもつ補助形容詞といわれるものです。

③は、ものが存在しないという意味の形容詞です。


この二つは、助動詞の「ない」とは違い、それのみで一文節をつくれます。


たとえば、

② この / 本は / おもしろく / ない

③ カバンの / 中に / 本が / ない


となります。



さらに、この二つの形容詞は「ありません」で言いかえられます。

② この本はおもしろくない
  ↓
  この本はおもしろくありません


③ カバンの中に本がない
  ↓
    カバンの中に本がありません





④は「切ない」で一単語の形容詞です。

だから、「ない」は形容詞の一部ということになります。

「切」と「ない」とに切り離すと不自然なのでわかるでしょう。


このように「~ない」で終わる形の形容詞には、


「幼い・汚い・少ない・頼りない・もったいない」などがあります。




以下に、「ない」の識別をまとめておきます。


◆「ない」の識別◆


(1)打消の助動詞
 ①それだけで一文節をつくれない
 ②「ず・ぬ」で言いかえられる

(2)形容詞
 ①それだけで一文節をつくれる
 ②「ありません」で言いかえられる
 ③単語の一部の「ない」





「ない」の識別は入試で頻出です。

ぜひ見分けられるようにしましょう。







2022年2月11日金曜日

助動詞 -助動詞の意味-



◆助動詞


今回は活用のある付属語・助動詞です。

まず、助動詞の意味の概略を上げ、次に試験によくでる識別問題を解説します。





1. 助動詞とは?

① 付属語で、活用がある
② 単独では文節をつくれない
③ いろいろな語に付いて、いろいろな意味を添える







2. 助動詞の意味


(1) れる・られる

意味】受身・尊敬・可能・自発
 
 ①受身(他から動作を受ける意味)
  
  【例】答えを先に言われる

     先生から意見をほめられる


 ②尊敬(動作を高めて敬意を表す意味)
 
  【例】社長がお話をされる

     先生が入って来られる
 
 
 ③可能(できるという意味)
 
  【例】ここからは五分で行かれる

     遠くまで見られる場所。
 
 
 ④自発(動作が自然と起こるという意味)
 
  【例】故郷の景色が思い出される
     自然と良さが感じられる




(2) せる・させる
 
 【意味】使役(他のものにさせる意味)
  
  【例】弟を先に帰らせる

  【例】友だちに食べさせる




(3) ない・ぬ(ん)

 【意味】打消(否定する意味)
  
  【例】本を読まない

     本を読ま人。




(4) う・よう

 【意味】推量・意志・勧誘
  
  ①推量(話し手が推し量っていう意味)
  
   【例】重さは5キロはあろ

   【例】もうすぐ月も出よう。 


  ②意志(話し手の意志を表す意味)
  
   【例】今日は3キロ走ろ

   【例】ぼくが買ってこよう
  

  ③勧誘(相手を誘う意味)
  
   【例】さあ君も歌お
   【例】みんなで呼んでみよう。 




(5) まい

 【意味】打消推量・打消意志 
 
  ①打消推量(「…ないだろう」という意味)
  
   【例】彼はたぶん戻るまい
  
  
  ②打消意志(「…ないつもりだ」という意味)
  
   【例】私はもう彼には会うまい




(6) たい・たがる 

 【意味】希望(希望する意味)
  
   【例】私は映画が見たい

      彼は本を読みたがる




(7) ます

 【意味】丁寧(丁寧に言う意味)
  
   【例】私が行きます




(8) た

 【意味】過去・完了・存続・確認
 
  ①過去(すでに動作が終わったという意味)
   
   【例】昨日海に行っ
   
   
  ②完了(動作がちょうど終わったという意味)
   
   【例】今、ちょうど読み終わっ


  ③存続(状態が引き続き存在している意味)
   
   【例】壁にかけ絵。


  ④確認(確認し思い出している意味)
  
   【例】明日は休みだっ

      今度行っときに見てみよう。
 



(9) そうだ(そうです)

 【意味】様態・伝聞
 
  ①様態(そういう様子であるという意味)
  
   【例】どうも雨が降りそうだ

  
  ②伝聞(人から聞いたという意味)

   【例】彼によると明日は雨が降るそうだ




(10) ようだ(ようです)

 【意味】たとえ・例示・不確かな断定

  ①たとえ(似たものにたとえる意味)
   
   【例】真っ白で、まるで雪のようだ
  
 
  ②例示(例を挙げる意味)
 
   【例】彼のような親切な人を探す。
 

  ③不確かな断定(不確かだが推測していう意味)
  
   【例】どうやら道に迷ったようだ
 



(11) らしい

 【意味】推定(何らかの根拠にもとづいて推測する意味)
   
   【例】あの様子では、彼は喜んでいるらしい




(12) だ

 【意味】断定(はっきりと判断を下す意味)

   【例】これは桜の木




(13) です

 【意味】丁寧な断定(「だ」よりも丁寧に判断を下す意味)

   【例】これは桜の木です










以上、助動詞の意味でした。

次回は、試験によく出る助動詞の識別問題です。








2022年2月6日日曜日

形容動詞



◆形容動詞



1. 形容動詞とは?

① 自立語で、活用がある
② 単独で述語になれる
③ 事物の状態・性質などを表す
④ 言い切りの形(基本形)が「だ(です)」で終わる




「静かだ・まじめだ・健康だ・心配だ・急だ・積極的だ・カラフルだ」などが形容動詞です。

形容動詞は、下のように活用語尾が「です」になることもあります。

「静かです・まじめです・健康です・心配です・急です・積極的です・カラフルです」





2. 形容動詞の活用

形容動詞も活用します。

「静かだ」を例にして説明してみましょう。



■「静かだ」の活用形■

【未然形】静かだろ(う)

【連用形】静かだっ(た)
     静か(ある)
     静か(なる)

【終止形】静か( 。 )

【連体形】静か(場所)

【仮定形】静かなら(ば)

【命令形】なし

 
「静か」が形の変わらない「語幹」で、下線部「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」が活用語尾です。

形容動詞の活用の種類は一種類しかないので、活用表を暗記するのがおすすめです。


 【形容動詞の活用表】



















活用形が問われたら、暗記している活用表をもとに、語尾の形で何形なのか見分けましょう。



問 次の下線部の形容詞の活用形を答えなさい。

静かに勉強する。         
心配ならば、見てこい。 
③ 彼はとてもまじめな人です。    
④ 友達の態度は積極的であった。  
⑤ 明日の天気は穏やかだろう。   
⑥ 春の風がさわやかだ
⑦ 彼はとてもパワフルだった。





【考え方】
各形容動詞の活用語尾に注目し、活用表をもとに活用形を見分けます。
①「静かに」は、活用語尾が「に」なので、連用形。
②「心配なら」は、活用語尾が「なら」なので、仮定形。
③「まじめな」は、活用語尾が「な」なので、連体形。
④「積極的で」は、活用語尾が「で」なので、連用形。
⑤「穏やかだろ」は、活用語尾が「だろ」なので、未然形。
⑥「さわやかだ」は、活用語尾が「だ」なので、終止形。
⑦「パワフルだっ」は、活用語尾が「だっ」なので、連用形。



※形容動詞も動詞と同じように次に続く語で活用形を見分けることもできます。しかし、一部に動詞と接続が違うことばがあります。

たとえば、「ない」は、動詞の未然形に続きますが、形容動詞では連用形に続きます。

・走ら(ない)→「走ら」は、動詞の未然形。

・静かで(ない)→「静かで」は、形容動詞の連用形。


動詞についているのが助動詞の「ない」で、形容動詞についているのが補助形容詞の「ない」だから、このような違いが出ます。

混乱を避けるために、動詞は続く語で判断、形容動詞は活用表で判断と分けるのがおすすめです。


活用表を何度も声に出して唱え、暗記してしまいましょう。



以上、形容動詞でした。





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形容詞

 


◆形容詞


1. 形容詞とは?

① 自立語で、活用がある
② 単独で述語になれる
③ 事物の状態・性質などを表す
④ 言い切りの形(基本形)が「い」で終わる



【例】
「美しい・良い・高い・おもしろい・甘い・寂しい・ない」などが形容詞です。




2. 形容詞の活用

形容詞は次のように活用します。「活用」については、動詞(1)を参照。


「美しい」を例にして説明してみましょう。

■「美しい」の活用形■

【未然形】美しかろ(う)

【連用形】美しかっ(た)
     美し(なる)
     美しゅ(ございます)
 ※「美しゅう」は音便形といわれ、活用表に含めないこともある。

【終止形】美し( 。 )

【連体形】美し(人)

【仮定形】美しけれ(ば)

【命令形】なし


「美し」が形の変わらない「語幹」で、下線部「かろ・かっ・く・う・い・い・けれ」が活用語尾です。

形容詞の活用の種類は一種類しかないので、活用表を暗記するのがおすすめです。


   【形容詞の活用表】


活用形が問われたら、暗記している活用表をもとに、語尾の形で何形なのか見分けましょう。


形容詞は、終止形と連体形が同じ形なので、終止形は文末で「。」が続き、連体形は「体言」が続くというように動詞と同じ見分け方を使いましょう。




問 次の下線部の形容詞の活用形を答えなさい。

① 花が美しく咲いている。     
甘いお菓子を食べる。       
③ もっと安ければ、買うのに。     
④ 彼もいれば、きっと楽しかろう。  
⑤ キミに出会えて良かった。     
⑥ 富士山は日本で一番高い。 





【考え方】

各形容詞の活用語尾に注目して、形容詞の活用表をもとに活用形を見分けます。
①「美しく」は、活用語尾が「く」の形なので、連用形。
②「甘い」は、活用語尾が「い」の形で、次に「お菓子」という体言が続くので連体形。
③「安けれ」は、活用語尾が「けれ」の形なので、仮定形。
④「楽しかろ」は、活用語尾が「かろ」の形なので、未然形。
⑤「良かっ」は、活用語尾が「かっ」の形なので、連用形。
⑥「高い」は、活用語尾が「い」の形で、次に「。」が続くので、終止形。





※形容詞も動詞と同じように次に続く語で活用形を見分けることもできます。しかし、一部に動詞と接続が違うことばがあります。

たとえば、「ない」は、動詞の未然形に続きますが、形容詞では連用形に続きます。

【例】
・走ら(ない)→「走ら」は、動詞の未然形。

・美しく(ない)→「美しく」は、形容詞の連用形。



動詞についているのが助動詞の「ない」で、形容詞についているのが補助形容詞の「ない」だから、このような違いが出ます。

混乱を避けるために、動詞は続く語で判断、形容詞は活用表で判断と分けるのがおすすめです。





以上、形容詞でした。








動詞(3)可能動詞

 



◆動詞(3)‐可能動詞‐



1. 可能動詞とは?

「~することができる」という可能の意味をふくむ動詞があります。
これを「可能動詞」といいます。

たとえば、「書ける・話せる・行ける・走れる」などです。


可能動詞は「五段活用の動詞」から作られます。

だから、かならず対応する五段活用の動詞があります。

【例】
・書く(五段活用)→ 書ける(可能動詞)

・話す(五段活用)→ 話せる(可能動詞)

・走る(五段活用)→ 走れる(可能動詞)




2. ら抜きことば

近年、というか、じつはかなり前から、この可能動詞からの類推で、いわゆる「ら抜きことば」という動詞が使われています。


たとえば、「見れる」「出れる」「来れる」などです。

これらは、それぞれ「見ることができる」「出ることができる」「来ることができる」という意味で使われていることと思います。

そういう意味では可能動詞と同じ用法だと言えますが、上の各語には対応する五段活用の動詞がありません。

ですから、規範に合わせると、これらの語は間違いとなります。


・見る(上一段活用)→ ×見れる

・出る(下一段活用)→ ×出れる

・来る(カ変格活用)→ ×来れる


これらの語は、本来は可能の助動詞「られる」をつけて、

【正しい例】

・見られる

・出られる

・来られる


とするべきなのです。

ところが、「ら」を抜かしてしまったのです。



近年、かなり広まっていて、口語ではもはや普通に使われるといってもいいでしょう。

しかし、文法的には誤りですから、作文を書くときなどには使わないのが安全です。





3. 可能動詞の見分け方

「可能動詞」なのか、「ら抜きことば」なのか、簡単に見分ける方法をお知らせします。



【可能動詞の公式】
 命令形 + る = 可能動詞





たとえば、「書く」を可能動詞にするばあい、

上の公式に当てはめると、

・「書け(命令形)」+「る」= 書ける


となります。



いっぽう、「見る」「来る」などをこの公式に当てはめると、


・「見ろ(命令形)」+「る」= 見ろる

・「来い(命令形)」+「る」= 来いる


となり、成り立ちません。

「見れる」は、「見れ+る」

「来れる」は、「来れ+る」

となり、おかしな日本語になってしまいます。




迷ったときには使ってみてください。





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動詞(2)‐活用の種類‐

 

◆動詞(2)‐活用の種類‐

前回は動詞の活用形について説明しました。今回は、動詞の活用の種類です。



1. 動詞の活用の種類

動詞は、次に続くことばによって形が変わりましたが、その形の変わり方に種類があります。これを「活用の種類」といいます。

活用の種類は5種類あります。それぞれを「五段活用・上一段活用・下一段活用・カ行変格活用・サ行変格活用」といいます。




2. 動詞の語幹と活用語尾

動詞が活用するとき、形が変わらない部分を「語幹」といい、形の変わる部分を「活用語尾」といいます。
たとえば、「歩く」でしたら、「歩かない」「歩きます」「歩く。」と活用しますが、「歩(ある)」の部分はいつも形が変わりません。

形が変わるのは、「歩か」の「か」、「歩き」の「き」、「歩く」の「く」の部分です。

この形の変わらない部分を「語幹」、形の変わる部分を「活用語尾」と呼ぶのです。

活用の種類は、「活用語尾」の形の変わり方で決まります。




3. 各活用の種類

①五段活用
五十音図の「ア・イ・ウ・エ・オ」の五つの段にわたって活用するものを「五段活用」といいます。

つまり、活用語尾が「アイウエオ」の五つの段に属するということです。


たとえば、「走る」は五段活用の動詞ですが、次のように活用します。

【未然形】走(ない)・走(う)

【連用形】走(ます)

【終止形】走(。)

【連体形】走(とき)

【仮定形】走(ば)

【命令形】走(。)

下線部がぞれぞれの活用語尾です。同じものを統一すると「らりるれろ」の五種類の文字になり、「ら(ア段)・り(イ段)・る(ウ段)・れ(エ段)・ろ(オ段)」の五つの段で活用していることがわかります。

このように活用する動詞を「五段活用」といいます。

「走る」は、「らりるれろ」と「ラ行」で五つの段で活用するので、活用の種類は「ラ行五段活用」となります。

五段活用の動詞には、ほかに「会う・書く・話す・飛ぶ・」などがあります。




②上一段活用(かみいちだんかつよう)
五十音図の「イ段」に活用するものを「上一段活用」といいます。

まんなかのウ段を中心に見ると、イ段は「一段上」に位置するので、「上一段(かみいちだん)」と呼ばれています。


たとえば、「起きる」は上一段活用の動詞ですが、次のように活用します。

【未然形】起(ない)

【連用形】起(ます)

【終止形】起きる(。)

【連体形】起きる(とき)

【仮定形】起きれ(ば)

【命令形】起きろ(。)

下線部がぞれぞれの活用語尾です。「き・き・きる・きる・きれ・きろ」と活用しており、「き」が共通しています。「き」は、五十音図の「イ段」の文字です。

このように「イ段」で活用する動詞を「上一段活用」といいます。

「る・れ・ろ」の部分は次に説明する下一段でも共通する形なので無視します。

「起きる」は、「き」がカ行なので、活用の種類は「カ行上一段活用」となります。

上一段動詞には、ほかに「生きる・落ちる・伸びる・見る」などがあります。




②下一段活用(しもいちだんかつよう)
五十音図の「エ段」に活用するものを「下一段活用」といいます。

まんなかのウ段を中心に見ると、エ段は「一段下」に位置するので、「下一段(しもいちだん)」と呼ばれています。


たとえば、「流れる」は下一段活用の動詞ですが、次のように活用します。

【未然形】流(ない)

【連用形】流(ます)

【終止形】流れる(。)

【連体形】流れる(とき)

【仮定形】流れれ(ば)

【命令形】流れろ(。)

下線部がぞれぞれの活用語尾です。「れ・れ・れる・れる・れれ・れろ」と活用しており、「れ」が共通しています。「れ」は、五十音図の「エ段」の文字です。

このように「エ段」で活用する動詞を「下一段活用」といいます。

「る・れ・ろ」の部分は前に説明した上一段と共通する形なので無視します。

「流れる」は、「れ」がラ行なので、活用の種類は「ラ行下一段活用」となります。

下一段動詞には、ほかに「受ける・見せる・眺める・寝る」などがあります。




④カ行変格活用(かぎょうへんかくかつよう)
五十音図のカ行の「イ・ウ・オ」の三つの段に活用するものを「カ行変格活用」といいます。カ行変格活用は「来る」一語だけしかありません。

昔は三段活用と呼ばれていましたが、五段・上一段・下一段と異なり、しかも「来る」一語だけしかないので、他と変わった活用ということで「変格活用」と呼ばれています。


「来る」は、次のように活用します。

【未然形】(ない)

【連用形】(ます)

【終止形】る(。)

【連体形】る(とき)

【仮定形】れ(ば)

【命令形】い(。)

「来る」は、未然形と連用形が一文字であり、語幹と活用語尾を分けることができません。こういうものを「語幹と活用語尾の区別がない」といいます。
下線部「き(イ段)・く(ウ段)・こ(オ段)」が、五十音図の「イウオ」の三段で活用しています。

「来る」は、カ行に活用し、他と違っているので「カ行変格活用」といいます。




⑤サ行変格活用(さぎょうへんかくかつよう)
五十音図のサ行の「ア・イ・ウ・オ」の四つの段に活用するものを「サ行変格活用」といいます。

サ行変格活用は「する」一語だけしかありません。ただし、「勉強する・心配する」など「~する」の形はたくさんあります。

五段・上一段・下一段と異なり、しかも「する」一語だけしかないので、他と変わった活用ということで「変格活用」と呼ばれています。


「する」は、次のように活用します。

【未然形】(ない)・(ず)・(せる)

【連用形】(ます)

【終止形】る(。)

【連体形】る(とき)

【仮定形】れ(ば)

【命令形】ろ(。)

「する」も、未然形と連用形が一文字であり、語幹と活用語尾を分けることができません。
下線部「さ(ア段)・し(イ段)・す(ウ段)・せ(エ段)」が、五十音図の四つの段で活用しています。

「する」は、サ行に活用し、他と違っているので「サ行変格活用」といいます。




以上の5種類が動詞の活用の種類です。





5.動詞の活用の種類の見分け方

動詞の活用の種類は簡単な見分け方があります。

■動詞の活用の種類の見分け方■
① まず、変格活用は暗記します。
・「来る」→ カ行変格活用
・「する(~する)」→ サ行変格活用

② 動詞に「ない」を付けて、そのすぐ前の文字が
・ア段の字 → 五段活用 
・イ段の字 → 上一段活用
・エ段の字 → 下一段活用

※「行」も文字で判断する。







問 次の動詞の活用の種類を答えなさい。
① 泣く
② 閉じる
④ 応援する
⑤ 倒れる
⑥ 来る



【考え方】
まず、変格活用を先に見つけます。
④「応援する」は「サ行変格活用」。⑥「来る」は「カ行変格活用」。

次に、動詞に「ない」をつけます。
①「泣く」は、「泣ない」となり、「ない」の前が「か」でア段の字だから、五段活用。
「か」は、カ行だから「カ行五段活用」となります。

②「閉じる」は、「閉ない」となり、「ない」の前が「じ」でイ段の字だから、上一段活用。「じ」は、ザ行だから、「ザ行上一段活用」となります。

⑤「倒れる」は、「倒ない」となり、「ない」の前が「れ」でエ段の字だから、下一段活用。「れ」は、ラ行だから、「ラ行下一段活用」となります。

※サ行変格活用に「ない」をつけてしまうと、「~しない」となり、イ段の字になって「上一段活用」と間違えてしまうので注意が必要です。

※動詞「ある」には、「ない」をつけられないので注意。「あらない」とは言わない。「ある」は、「ない」と同じ打消しの助動詞「ず」をつけると「あず」となり、「ら」がア段の字だから、「ラ行五段活用」だとわかる。





以上、だいぶ長くなりましたが、動詞の活用の種類でした。








動詞(1)‐活用形‐

 

◆動詞(1) -活用形-


1. 動詞とは?

① 自立語で、活用がある
② 単独で述語になれる
③ 事物の動作・存在・作用などを表す
④ 言い切りの形が五十音図のウ段の字で終わる



2. 動詞の活用形
動詞は、次に続くことばによって形が変わります。

たとえば、「歩く」という動詞は、

・歩〈ない〉
・歩〈ます〉
・歩〈。〉
・歩〈ば〉

というように、〈 〉の中の次に続くことばによって形が変わっています。この動詞の形が変わることを「活用」といい、それぞれの形を「活用形」といいます。

活用形は5種類あり、それぞれに名前がついています。



■動詞の活用形■

未然形:「ない・う・よう」などが続く形 
【例】歩かない


連用形:「ます・た・て」などが続く形 
【例】歩きます


終止形: 文を言い切り「。」などが続く形 
【例】歩く


連体形:「とき・こと」などが続く形 
【例】歩くとき


仮定形:「ば」が続く形 
【例】歩け


命令形:命令して言い切る形 
【例】歩け

学校の定期テストや入試では、この動詞の活用形を見分ける問題が出題されます。




3. 動詞の活用形の見分け方

動詞の活用形を見分けるには、次に続くことばを暗記するのがよいでしょう。


■活用形に続くことば■

① 未然形
   →「れる・られる・せる・させる・ない・う・よう・ず」

② 連用形
 →「た・だ・て・で・たい・ます・、」

③ 終止形
 →「と・。・けれど」

④ 連体形
 →「体言(名詞)・ の(助詞)」

⑤ 仮定形
 →「ば」


⑥ 命令形
 →「と・。」

 ※終止形と同じなので、命令形は「命令する言い方」で見分ける。



これを暗記してしまえば、動詞の活用形は簡単に見分けられます。以下に例題をあげます。


問  次の下線部の語の活用形を答えなさい。
① すぐ大阪へ立とうと思います。  
② 町中に悪いうわさが立つ。    
③ すぐに立てと言われた。     
④ 証人に立つ人がいない。     
⑤ 役に立ちたいと願う。  
⑥ 上に立てば、責任も重い。  


   
【考え方】
 それぞれの下線部の動詞の次に続いていることばに注目します。
①「う」が続くので、未然形。
②「。」が続くので、終止形。
③「と」が続き、命令する言い方なので、命令形。
④「人(体言)」が続くので、連体形。
⑤「たい」が続くので、連用形。
⑥「ば」が続くので、仮定形。





■「続くことば」は、何度も声に出して覚えましょう。








2022年2月5日土曜日

感動詞

 

◆感動詞



1.感動詞とは? 

①自立語で活用がない

②単独で独立後となる

③「感動・呼びかけ・応答・あいさつ・かけ声」 などを表す






2.感動詞の種類 


【感動】

「あら・ああ・まあ・きゃあ」


あら、こんなところにお花が咲いている。


ああ、明日から仕事が始まる。





【呼びかけ】

「おい・よう・ねえ・もしもし」など。 


おい、無事ならば返事をしろ。 


もしもし、山田様のお宅でしょうか。 





【応答】


「はい・いいえ・いや・うん」など。 


はい、わかりました。 


いや、私にはわからない。 





【あいさつ】


「こんにちは・さようなら」など。 


こんにちは、わたしが高橋です。 


さようなら、私の愛する人。 





【かけ声】


「どっこいしょ・よいしょ・そら・ほい」など。 


どっこいしょ、何とか持ち上がった。 


そら、さっそく奴がお出ましだ。 






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2022年2月4日金曜日

接続詞

 


◆接続詞


1. 接続詞とは?

① 自立語で、活用がない

② 語と語、文と文などを接続し単独で接続語となる





2. 接続詞の意味

  

【順接】

前の事柄が後の事柄の原因・理由となることを表す。    

【例】だから・そこで・それで・それゆえ・したがって

・きのうは39度の熱が出た。だから、家で寝ていた。

・パソコンの調子が悪くなった。そこで、新しく買いかえることにした。


※近年、多用される「なので」という接続詞があります。「だから」が、論理的で硬い印象を与えるためでしょうか、やわらかい「なので」が好んで使われるようです。しかし、これは「なので」は、話し言葉で使われるくだけた表現です。文章語としては使うのを避けたほうがよいでしょう。




【逆接】

前の事柄と後の事柄が逆の関係になることを表す。    

【例】しかし・けれども・だが・ところが

・誕生パーティーに友人を招待した。しかし、誰も来なかった。

・彼の申し出は、たいへんありがたい。だが、今回は断る。




【添加】

前の事柄に後の事柄を付け加えることを表す。        

【例】そのうえ・しかも・それに・それから

・蛇にかまれてしまった。そのうえ、蜂に刺されてしまった。

・このお店のケーキはとてもおいしい。しかも、かなり安い。




【並列】

前の事柄と後の事柄が並んでいることを表す。     

【例】また・および・そして・ならびに

・自然は美しいものであり、また、恐ろしいものでもある。




【選択】

前の事柄と後の事柄のどちらかを選ぶことを表す。      

【例】それとも・あるいは・または

・コーヒーにしますか。それとも、紅茶にしますか。

・自動車か、あるいは、バスで行こう。




【説明・補足】

前の事柄を言いかえて説明したり、補足したりすることを表す。     

【例】つまり・すなわち・なぜなら・たとえば・ただし・もっとも

・失敗したら終わりだ。つまり、命はないということだ。

・彼は立ち上がれなかった。なぜなら、足がしびれていたからだ。

・値段は一万円です。ただし、消費税は含まれません。




【転換】

前の事柄から話題を変えることを表す。           

【例】ところで・さて・では・ときに

・良い天気ですね。ところで、ここは何という街ですか。

・みんな集まりましたね。さて、試合を始めましょう。







◆アドバイス
接続詞は、文脈を正確にとらえるのに非常に大切なことばです。

はたらきをしっかり理解して、読解や作文に生かしたいですね。









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