◆動詞(2)‐活用の種類‐
前回は動詞の活用形について説明しました。今回は、動詞の活用の種類です。
動詞は、次に続くことばによって形が変わりましたが、その形の変わり方に種類があります。これを「活用の種類」といいます。
活用の種類は5種類あります。それぞれを「五段活用・上一段活用・下一段活用・カ行変格活用・サ行変格活用」といいます。
動詞が活用するとき、形が変わらない部分を「語幹」といい、形の変わる部分を「活用語尾」といいます。
たとえば、「歩く」でしたら、「歩かない」「歩きます」「歩く。」と活用しますが、「歩(ある)」の部分はいつも形が変わりません。
形が変わるのは、「歩か」の「か」、「歩き」の「き」、「歩く」の「く」の部分です。
この形の変わらない部分を「語幹」、形の変わる部分を「活用語尾」と呼ぶのです。
活用の種類は、「活用語尾」の形の変わり方で決まります。
①五段活用
五十音図の「ア・イ・ウ・エ・オ」の五つの段にわたって活用するものを「五段活用」といいます。
つまり、活用語尾が「アイウエオ」の五つの段に属するということです。
たとえば、「走る」は五段活用の動詞ですが、次のように活用します。
【未然形】走ら(ない)・走ろ(う)
【連用形】走り(ます)
【終止形】走る(。)
【連体形】走る(とき)
【仮定形】走れ(ば)
【命令形】走れ(。)
下線部がぞれぞれの活用語尾です。同じものを統一すると「らりるれろ」の五種類の文字になり、「ら(ア段)・り(イ段)・る(ウ段)・れ(エ段)・ろ(オ段)」の五つの段で活用していることがわかります。
このように活用する動詞を「五段活用」といいます。
「走る」は、「らりるれろ」と「ラ行」で五つの段で活用するので、活用の種類は「ラ行五段活用」となります。
五段活用の動詞には、ほかに「会う・書く・話す・飛ぶ・」などがあります。
②上一段活用(かみいちだんかつよう)
五十音図の「イ段」に活用するものを「上一段活用」といいます。
まんなかのウ段を中心に見ると、イ段は「一段上」に位置するので、「上一段(かみいちだん)」と呼ばれています。
たとえば、「起きる」は上一段活用の動詞ですが、次のように活用します。
【未然形】起き(ない)
【連用形】起き(ます)
【終止形】起きる(。)
【連体形】起きる(とき)
【仮定形】起きれ(ば)
【命令形】起きろ(。)
下線部がぞれぞれの活用語尾です。「き・き・きる・きる・きれ・きろ」と活用しており、「き」が共通しています。「き」は、五十音図の「イ段」の文字です。
このように「イ段」で活用する動詞を「上一段活用」といいます。
「る・れ・ろ」の部分は次に説明する下一段でも共通する形なので無視します。
「起きる」は、「き」がカ行なので、活用の種類は「カ行上一段活用」となります。
上一段動詞には、ほかに「生きる・落ちる・伸びる・見る」などがあります。
②下一段活用(しもいちだんかつよう)
五十音図の「エ段」に活用するものを「下一段活用」といいます。
まんなかのウ段を中心に見ると、エ段は「一段下」に位置するので、「下一段(しもいちだん)」と呼ばれています。
たとえば、「流れる」は下一段活用の動詞ですが、次のように活用します。
【未然形】流れ(ない)
【連用形】流れ(ます)
【終止形】流れる(。)
【連体形】流れる(とき)
【仮定形】流れれ(ば)
【命令形】流れろ(。)
下線部がぞれぞれの活用語尾です。「れ・れ・れる・れる・れれ・れろ」と活用しており、「れ」が共通しています。「れ」は、五十音図の「エ段」の文字です。
このように「エ段」で活用する動詞を「下一段活用」といいます。
「る・れ・ろ」の部分は前に説明した上一段と共通する形なので無視します。
「流れる」は、「れ」がラ行なので、活用の種類は「ラ行下一段活用」となります。
下一段動詞には、ほかに「受ける・見せる・眺める・寝る」などがあります。
④カ行変格活用(かぎょうへんかくかつよう)
五十音図のカ行の「イ・ウ・オ」の三つの段に活用するものを「カ行変格活用」といいます。カ行変格活用は「来る」一語だけしかありません。
昔は三段活用と呼ばれていましたが、五段・上一段・下一段と異なり、しかも「来る」一語だけしかないので、他と変わった活用ということで「変格活用」と呼ばれています。
「来る」は、次のように活用します。
【未然形】こ(ない)
【連用形】き(ます)
【終止形】くる(。)
【連体形】くる(とき)
【仮定形】くれ(ば)
【命令形】こい(。)
「来る」は、未然形と連用形が一文字であり、語幹と活用語尾を分けることができません。こういうものを「語幹と活用語尾の区別がない」といいます。
下線部「き(イ段)・く(ウ段)・こ(オ段)」が、五十音図の「イウオ」の三段で活用しています。
「来る」は、カ行に活用し、他と違っているので「カ行変格活用」といいます。
⑤サ行変格活用(さぎょうへんかくかつよう)
五十音図のサ行の「ア・イ・ウ・オ」の四つの段に活用するものを「サ行変格活用」といいます。
サ行変格活用は「する」一語だけしかありません。ただし、「勉強する・心配する」など「~する」の形はたくさんあります。
五段・上一段・下一段と異なり、しかも「する」一語だけしかないので、他と変わった活用ということで「変格活用」と呼ばれています。
「する」は、次のように活用します。
【未然形】し(ない)・せ(ず)・さ(せる)
【連用形】し(ます)
【終止形】する(。)
【連体形】する(とき)
【仮定形】すれ(ば)
【命令形】しろ(。)
「する」も、未然形と連用形が一文字であり、語幹と活用語尾を分けることができません。
下線部「さ(ア段)・し(イ段)・す(ウ段)・せ(エ段)」が、五十音図の四つの段で活用しています。
「する」は、サ行に活用し、他と違っているので「サ行変格活用」といいます。
以上の5種類が動詞の活用の種類です。
5.動詞の活用の種類の見分け方
動詞の活用の種類は簡単な見分け方があります。
■動詞の活用の種類の見分け方■
① まず、変格活用は暗記します。
・「来る」→ カ行変格活用
・「する(~する)」→ サ行変格活用
② 動詞に「ない」を付けて、そのすぐ前の文字が
・ア段の字 → 五段活用
・イ段の字 → 上一段活用
・エ段の字 → 下一段活用
※「行」も文字で判断する。
問 次の動詞の活用の種類を答えなさい。
① 泣く
② 閉じる
④ 応援する
⑤ 倒れる
⑥ 来る
【考え方】
まず、変格活用を先に見つけます。
④「応援する」は「サ行変格活用」。⑥「来る」は「カ行変格活用」。
次に、動詞に「ない」をつけます。
①「泣く」は、「泣かない」となり、「ない」の前が「か」でア段の字だから、五段活用。
「か」は、カ行だから「カ行五段活用」となります。
②「閉じる」は、「閉じない」となり、「ない」の前が「じ」でイ段の字だから、上一段活用。「じ」は、ザ行だから、「ザ行上一段活用」となります。
⑤「倒れる」は、「倒れない」となり、「ない」の前が「れ」でエ段の字だから、下一段活用。「れ」は、ラ行だから、「ラ行下一段活用」となります。
※サ行変格活用に「ない」をつけてしまうと、「~しない」となり、イ段の字になって「上一段活用」と間違えてしまうので注意が必要です。
※動詞「ある」には、「ない」をつけられないので注意。「あらない」とは言わない。「ある」は、「ない」と同じ打消しの助動詞「ず」をつけると「あらず」となり、「ら」がア段の字だから、「ラ行五段活用」だとわかる。
以上、だいぶ長くなりましたが、動詞の活用の種類でした。
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