2025年6月19日木曜日

格助詞「の」の識別法



◆格助詞「の」の識別法 ◆


格助詞の「の」には、次のような意味があります。


1. 主語を表す。

【例】咲く季節がきた。


2. 連体修飾を表す。

【例】海辺風景を描く。


3. 体言の代用をする。

【例】ぼくも同じが食べたい。


4. 並立を表す。

【例】行く行かないと騒いでいた。




《識別ポイント》


1. 主語のを表す「の」

・「が」で言い換えられ主語につく

【例】咲く季節がきた。

   

【例】桜咲く季節がきた。

「の」を「が」に言い換えられ、「桜が」で主語になる。



2. 連体修飾を表す「の」

体言(名詞)に付き、体言を修飾する

【例】海辺風景を描く。

海辺」という体言(名詞)に付き、「風景」という体言を修飾している。



3. 体言の代用をする「の」

「~()もの・~()こと」で言い換えられる

【例】ぼくも同じが食べたい。

   ↓

【例】ぼくも同じものが食べたい。



4. 並立を表す「の」

・同じ種類のものを並べる

【例】行く行かないと騒いでいた。

行く」「行かない」は、騒ぐときに言っているセリフで同じ種類。




【問題】
次の──線部の「の」の意味を答えなさい。

ア 水流れが速い。

イ 雨降る日は家にいる。

ウ 寒い暑いと文句を言うな。

エ 僕のもいいが、君もいいね。



【解答】

ア 連体修飾。「水」という体言に付き、「流れ」という体言を修飾している。

イ 主語。「雨」と言い換えられる。

ウ 並立。「寒い」と「暑い」という同じ種類の語を並べている。

エ 体言の代用。「君のもの」と言い換えられる。



2025年6月10日火曜日

助詞の識別法


◆助詞の識別法


◆助詞とは?◆

①付属語で、活用がない。

② 単独では文節をつくれない。

③ いろいろな語に付いて、いろいろな意味や関係を表す。



◆助詞の種類◆

1. 格助詞

2. 接続助詞

3. 副助詞

4. 終助詞



◆助詞のはたらき◆

1. 格助詞

主に体言(名詞)につき、その体言が文中でどのような関係にあるかを表す。

【例】

主語を表す「が」

・猫鳴く。 


動作の対象を表す「を」

・映画見る。


並立を表す「と」

・ペンノートを買う。



2. 接続助詞

用言や助動詞などにつき、文と文、文節と文節の関係を表す。

【例】

順接の仮定条件を表す「ば」

・走れ、間に合う。 


逆接を表す「が」

・苦しい、我慢しよう。 


順接の確定条件を表す「ので」

・勉強したので、合格した。 



3. 副助詞

いろいろな語にとつき、いろいろな意味を付け加える。

【例】

取り立てを表す「は」

・彼知っているが、彼女は知らない。 


限定を表す「だけ」

・今日だけは、許してやろう。


添加を表す「さえ」

・気温が低いうえに、風さえ吹いてきた。



4. 終助詞

文節や文の終わりについて、心情などを表す。

【例】

疑問を表す「か」

・国語は好きです。 


勧誘を表す「よ」

・買い物に行こう


禁止を表す「な」

・大きな声を出す。 

    

2025年3月23日日曜日

助動詞「だ」の識別


 助動詞「だ」の識別


助動詞の「だ」は、断定のというひとつの意味しかありません。

〈例文〉
・これは桜の花

・別れとは悲しいもの


◆助動詞「だ」の意味

①断定
・判断を下し言い切る意味



「だ」自体の意味は、それほど難しくありません。

しかし、助動詞「だ」には、紛らわしいことばが多いのです。



【問】
次のー線部のうち、断定の助動詞はどれか。

ア 景色がとてもきれい

イ 雨がまるで滝のよう

ウ 彼は私の友だち

エ 明日は晴れるそう

オ 図書館で本を読ん






【解答】
 ウ





【解説】
・ウは、断定の助動詞の終止形です。
「友だち」という体言(名詞)について、判断を下し言いきる働きをしています。

・イは、比況の助動詞「ようだ」の一部
・エは、伝聞の助動詞「そうだ」の一部
このふたつは、それぞれ「ようだ」「そうだ」で覚えてしまいましょう。

・オは、過去の助動詞の「た」です。撥音便(ん)のあとで濁音化しています。動詞につき、撥音便が直前にあるので分かります。


・アは、形容動詞「きれいだ」の終止形活用語尾です。

形容動詞は、程度の副詞「とても」で修飾でき、「・・・な」の形(連体形)にできると見分けましょう。

【例】
きれいだ → 「とてもきれいな」と言えるので形容動詞

桜の花だ → 「とても桜の花な」と言えないので体言+断定の助動詞





◆助動詞「だ」の識別
①【断定】
 ・判断を下し言い切る意味
 ・体言(名詞)や助詞「の」につく

②その他のまぎらわしい語に注意する




以上、断定の助動詞「だ」の識別でした。




2022年2月25日金曜日

助動詞「そうだ」の識別


 ◆助動詞「そうだ」の識別


助動詞の「そうだ(そうです)」は、

「伝聞」と「様態」の2つの意味があります。





問 次の傍線部の「そうだ」の意味を答えなさい。

① 天気予報によると明日は雨が降るそうだ。 

② そろそろ桜が咲きそうだね。





【解答】
① 伝聞
② 様態




以下、順番に助動詞「そうだ」の識別を説明していきます。




◆助動詞「そうだ」の意味

① 伝聞
・他から聞いたという意味

② 様態
・そういう様子だという意味








① 伝聞

・ 天気予報によると明日は雨が降るそうだ 


「伝聞」とは、他から聞いた情報であることを表します。

例文では、自分の意見や体験にもとづく情報ではなく、

天気予報で聞いた情報であることを表しています。


このように、他からくから「伝聞」なのです。




② 様態

・そろそろ桜が咲きそうだね。


「様態」とは、そういう様子であることを表します。

例文では、

「見たところ もうすこしで桜が咲く」という様子

を表しています。


子や状を表すので、「様態」と覚えましょう。







◆「そうだ」の接続

「そうだ」は、表す意味によって接続が違います。


【伝聞】
活用語の終止形につく

・新しい家が建つそうだ。

・彼は帰りが遅いそうだ。

・試験の結果が心配だそうだ。




上の例文の「建つ」「遅い」「心配だ」は、すべて終止形です。

終止形とは「。」がつき、言い切る形でした。

「建つ。遅い。心配だ。」というように、すべて「。」がつきますね。


「。」がつく終止形につくのが「伝聞」


と考えるとよいでしょう。







【様態】
①動詞型活用の連用形につく

②形容詞と形容動詞の語幹につく

③助動詞「ない」「たい」の語幹相当部分につく






①・雨が降りそうだ。

 ・事件が起きそうだ


②・このお菓子がおいしそうだ。

 ・じつに元気そうな様子だ。


③・彼は知らそうだ。

 ・彼は話しそうな様子だ。




①の「降り」「起き」は、動詞の連用形です。

②の「おいし」は、形容詞「おいしい」、「元気」は形容動詞「元気だ」の語幹です。

③の「な」は打消の助動詞「ない」、「た」は希望の助動詞「たい」の語幹です。



②のように様態の「そうだ」は、形容詞の語幹につきますが、「ない」「よい」にかぎり、「なそうだ」「よそうだ」というように、語幹と「そうだ」の間に「さ」が入ります。



「彼は行かなさそうだ」という例がときどき見られます。

これは、打消の助動詞の「ない」の語幹に「さ」をつけているので間違いです。

形容詞の「ない」「よい」だけに「さ」がつくのです。

気をつけましょう。




以上のように接続はとてもまぎらわしいので、


・伝聞の「そうだ」は終止形(「。」がつく形)につく

様態の「そうだ」はそれ以外につく


と覚えるとよいでしょう。






◆助動詞「そうだ」の識別

①【伝聞】
 ・他から聞いたという意味
 ・終止形(「。」がつく形)につく

②【様態】
 ・そういう様子だという意味






以上、助動詞「そうだ」の識別でした。




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2022年2月24日木曜日

助動詞「ようだ」の識別


 ◆助動詞「ようだ」の識別


助動詞の「ようだ」は、比況(たとえ)・推定・例示の3つの意味があります。



問 次の傍線部の「ようだ」の意味を答えなさい。

① 彼はまるで魚のように泳ぐ。

② どうやら彼は知らないようだ 。 

③ 彼のようにまじめな人がよい。







【解答】
① 比況
② 推定
③ 例示




以下、順番に助動詞「ようだ」の識別を説明していきます。



◆助動詞「ようだ」の意味

① 比況
・あるものを別の似たものにたとえる意味
・「まるで~ようだ」といえる

② 推定
・不確かだが何らかの根拠に基づいて推測していう意味
・「どうやら~ようだ」といえる

③ 例示
・例をあげていう意味
・「たとえば~ように」といえる








①比況(たとえ)

・彼はまるで魚のように泳ぐ。


比況は、「たとえ」ともいいます。

あるものを似た別のものにたとえていうものです。

例文では、みごとに泳ぐ彼の様子を魚にたとえています。

「まるで~ようだ」と表現して意味が通じると、だいたい「比況」の意味だと思ってよいでしょう。




②推定

・どうやら彼は知らないようだ 


確実ではないけれど、推測して判断を下す表現を「推定」といいます。

例文では、何らかの根拠にもとづいて「彼は来ない」と推測しています。

たんなる推量と違って、何かしら根拠があって推測するのが「推定」です。

たとえば、

すでに集合時間を過ぎている
誰かから彼は来ないと伝言をきいている

などの、根拠をもとに推測するわけです。


「どうやら」などの不確かさを表すことばをともに使えることが、「推定」である目安になります。





③例示

・彼のようにまじめな人がよい。


あることをよく表している実物をあげるのを「例示」といいます。

例文では、「まじめな人」をよく表している人として「彼」をあげています。


「たとえば」をともに使っていえるばあいは、「例示」の意味だと思ってよいでしょう。








◆助動詞「ようだ」の識別


①【比況】「まるで~ようだ」という意味で、たとえる

②【推定】「どうやら~ようだ」という意味で、推測する

③【例示】「たとえば~ようだ」という意味で、例をあげる







以上、ようだの識別でした。





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2022年2月13日日曜日

助動詞「れる・られる」の識別


 




◆助動詞「れる・られる」の識別


助動詞の「れる・られる」は、受身・可能・自発・尊敬という4つの意味があります。




問 次の傍線部の「れる・られる」の意味を答えなさい。

① 友人に呼ばれる

② 五分で行かれる距離。 

③ 弟の身が心配される。 

④ 先生が教室に来られる。   






【解答】
 ① 受身
 ② 可能
 ③ 自発
 ④ 尊敬





以下、順番に「れる・られる」の意味の識別を説明しましょう。




◆助動詞の「れる・られる」の意味の識別

① 受身
・ 動作を受ける相手(「~に」)があるか、補える

② 可能
・「~できる」の意味を表す

③ 自発
・心情語に付き、動作が自然と起こることを表す

④ 尊敬
・尊敬すべき人が動作主である







① 受身

 ・友人に呼ばれる

「受身」とは、他から動作を受ける意味です。

「友人に」動作を受ける相手です。

「友人」から、「呼ぶ」という動作を受けています。


・クラスの代表に選ばた。

これも、動作を受ける相手「クラスの仲間たちによって」などを補うことができます。


こういう「れる・られる」は、「受身」を表しています。




② 可能
 
・五分で行かれる距離。 


「五分で行かれる」は

「五分で行くことができる」という意味です。



こういう「れる・られる」は、「可能」を表しています。




③ 自発

 ・弟の身が心配される。 


これは、「心配する」という心情語につき、「自然と心配してしまう」という意味です。


「自発」とは、

そうするつもりはないのに 自然としてしまう

という意味です。



「走る・投げる」などは、自然と起こりにくい動作です。

それに対して「思う・心配する・感じる」などは自然と起こりやすい動詞です。

こういう動詞を心情語といいます。

心情語は自発表現でよく使われます。





④ 尊敬

・先生が教室に来られる。 


「尊敬」の「れる・られる」は、尊敬すべき人の動作に使い、敬意を表す言い方です。

「来られる」という動作の主体(主語)は、「先生」です。


先生は「尊敬すべき人」です。


もちろん、世のすべての先生が尊敬すべき人かどうかはわかりません。


ただ、ここでいう「尊敬すべき人」とは、

表現のうえで敬意を払っている相手

ということです。


このように、「尊敬すべき人」「敬意をはらう相手」の動作に使われる「れる・られる」は「尊敬」を表しています。



助動詞「れる・られる」は、意味が4つもあります。

ただ、見分け方も分かりやすいためか、試験でよく問われます。



識別方法をしっかり学習しておきましょう。




◆助動詞「れる・られる」の識別

①【受身】動作を受ける相手(~に)がある

②【可能】「~できる」という意味

③【自発】心情語について自然とする動作につく

④【尊敬】尊敬すべき人の動作につく






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2022年2月12日土曜日

助動詞「ない」の識別


 

◆助動詞「ない」の識別



助動詞の「ない」は、打消(否定)という一つの意味しかありません。

ところが、「ない」には、他に形容詞の「ない」というものがあります。

助動詞と形容詞との識別が入試などでよく問われます。



問 次の傍線部を文法的に説明しなさい。

① 彼は本を読まない

② この本はおもしろくない

③ カバンの中に本がない

④ この本は切ない





【解答】
① 助動詞
② 補助形容詞(形式形容詞)
③ 形容詞
④ 形容詞の一部





以下、「ない」の見分け方を説明していきます。




助動詞「ない」は次の2つの見分け方があります。


◆助動詞の「ない」◆

①「ず・ぬ」で言いかえられる

②「ない」だけでは一文節をつくれない




助動詞「ない」は、ほかの打消の助動詞「ず・ぬ」で言いかえることができます。


たとえば、

彼は本を読まない


彼は本を読ま

彼は本を読ま



というぐあいです。



また、助動詞の「ない」は付属語ですから、それのみで一文節をつくれません。文節の区切りかた


「彼は本を読まない」という文を文節に分けると

彼は / 本を / 読まない

と3文節になります。

「ない」だけでは一文節をつくれません。




さて、次に②③④です。

これらは、どれも形容詞の「ない」です。



②は、助動詞と同じで打消の意味をもつ補助形容詞といわれるものです。

③は、ものが存在しないという意味の形容詞です。


この二つは、助動詞の「ない」とは違い、それのみで一文節をつくれます。


たとえば、

② この / 本は / おもしろく / ない

③ カバンの / 中に / 本が / ない


となります。



さらに、この二つの形容詞は「ありません」で言いかえられます。

② この本はおもしろくない
  ↓
  この本はおもしろくありません


③ カバンの中に本がない
  ↓
    カバンの中に本がありません





④は「切ない」で一単語の形容詞です。

だから、「ない」は形容詞の一部ということになります。

「切」と「ない」とに切り離すと不自然なのでわかるでしょう。


このように「~ない」で終わる形の形容詞には、


「幼い・汚い・少ない・頼りない・もったいない」などがあります。




以下に、「ない」の識別をまとめておきます。


◆「ない」の識別◆


(1)打消の助動詞
 ①それだけで一文節をつくれない
 ②「ず・ぬ」で言いかえられる

(2)形容詞
 ①それだけで一文節をつくれる
 ②「ありません」で言いかえられる
 ③単語の一部の「ない」





「ない」の識別は入試で頻出です。

ぜひ見分けられるようにしましょう。







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