2021年7月20日火曜日

連体詞

 


◆連体詞



◆連体詞とは?

自立語で、活用がない。

② 主に体言を修飾する。
 
【例わが国  あらゆる生き物  おかしな事件






◆連体詞の覚え方

連体詞は理屈で考えるよりつぎの覚え方で暗記してしまいましょう。


【暗記法】
「 わが ・ ―の ・ ―た ・ ―る ・ ―な 」

と覚える。



わが  

「──の」で終わるもの     
 この ・ その ・ あの ・ どの

「──た」で終わるもの
 たった ・ とんだ ・ たいした

「──る」で終わるもの
 あらゆる ・ いわゆる ・ いかなる ・ ある ・ 単なる ・ さる ・ きたる 

「──な」で終わるもの
 大きな ・ 小さな ・ いろんな ・ おかしな
 

上のように、「わが」と「の」で終わる形、「た」で終わる形、「る」で終わる形、「な」で終わる形というグループに分け、暗記するのです。



何度も声に出していればすぐに覚えられます。

つぎのように言い続けましょう。


「わが・の・た・る・な、この・その・あの・どの・たった・とんだ・たいした・あらゆる・いわゆる・いかなる・ある・たんなる・さる・きたる・おおきな・ちいさな・いろんな・おかしな・連体詞!!」



連体詞は体言を修飾することばです。
ところが、体言を修飾するものには、動詞・形容詞・形容動詞の連体形などもあるので、ひじょうにまぎらわしいのです。

たとえば、

走る人 = 動詞の連体形+体言
大きい人 = 形容詞の連体形+体言
まじめな人 = 形容動詞の連体形+体言
大きな人 = 連体詞+体言

というぐあいです。


とくに、形容詞の「大きい」と「小さい」は、連体詞の「大きな」「小さな」と意味が同じで、形も似ているので注意が必要です。

また、形容動詞の連体形は「~な」の形になるので、「ーな」で終わる形の連体詞と間違えやすいようです。

ぜひ、この暗記法で連体詞を覚えてしまいましょう。









2021年7月19日月曜日

名詞

 

今回は活用のない自立語編です。

 

◆名詞

           

  

◆名詞とは

① 自立語で、活用がない。

② 人や物事の名前を表す。

③ 文の成分の主語になることができる。

④ 体言ともいう。

 



◆名詞の種類


① 普通名詞

同じ性質を持つものならどれでも通用するもの。 

【例】花・鳥・人・家・りんご・喜び・歩き

 


 

② 固有名詞

特定のものの名を表すもの。国名・地名・人名など。

【例】日本・東京都・夏目漱石・富士山     

 

※同種の他のものと区別するために世界で一つしかないものにつけた名。

同姓同名は、たまたま同じ名が複数あっただけ。本来、その他大勢の人物と区別するために世界で一つだけのものにつけられている。

太陽や月は世界に一つしかないが、区別が不要なので固有名詞ではない。


 

 

③ 数詞

数量や順序を表すもの。数字が入っている。「何」も同種なので注意。

【例】三メートル・五台・20時・1番・何人

 


 

④ 形式名詞

 もとの意味がうすれて抽象的な意味を持つようになったもの。ふつうは修飾語をともなう。

【例】こと・もの・ため・とき・まま・ところ  

 

※形式名詞はふつうはひらがな書きにする。

 



⑤ 代名詞

直接名を言わないで指していうもの。

【例】私・彼・これ・あれ・どれ・そこ 

 

※代名詞は、人を指す人称代名詞(「彼・彼女」など)と事物を指す指示代名詞(「これ・それ」など)にわかれる。

※連体詞と間違えやすいので注意。「この・その・あの・どの」は連体詞。


 

⑥その他

・転成名詞

動詞や形容詞などの他の品詞が名詞に転じたものを転成名詞という。

・動詞の連用形

【例】ひかる → ひかり


・形容詞・形容動詞の語幹に接尾語「さ・み・け・げ」がついたもの   

【例】かわいい(形容詞)→ かわいげ  

   静かだ(形容動詞 → 静かさ

これらは普通名詞。








2021年7月17日土曜日

漢文の勉強法「朝三暮四」

 

定期テスト対策の漢文勉強法


朝三暮四


【書き下し文】

(そう)()(こう)なる者あり。()を愛し、(これ)(やしな)ひて()れをなす。()()の意を(かい)し、()(また)(こう)の心を()たり。()家口(かこう)(そん)じ、()(よく)()つ。(にわ)かにして(とぼ)し。(まさ)()(しょく)を限らんとす。衆狙(しゅうそ)(おのれ)()れざらんことを(おそ)るるや、()(これ)(あざむ)きて()はく、「(なんじ)(ちょ)(あた)ふるに、(あさ)(さん)にして()れに()にせば、()るか。」と。衆狙(しゅうそ)(みな)()ちて(いか)る。(にわ)かにして()はく、「(なんじ)(ちょ)(あた)ふるに、(あさ)()にして()れに(さん)にせば、()るか。」と。衆狙(しゅうそ)(みな)()して喜ぶ。

 物の(のう)()()って(あい)(ろう)すること、(みな)()()くのごときなり。聖人(せいじん)()()って(ぐん)()(ろう)するは、(また)()()(こう)()()って衆狙(しゅうそ)(ろう)するがごときなり。名実(めいじつ)()けずして、()れをして()()せしむるかな。

 


【訳】

 宋の国に猿飼いとよばれる者がいた。猿をかわいがって飼い育てていて、猿は群れを成していた。彼は猿が何を考えているか理解することができ、猿もまた、主人の心をつかんでいた。彼は自分の家族の食べ物を減らしてまでも、猿の食欲を満足させていた。(ところが)彼は突然貧乏になってしまった。そこで猿の食料を制限しようとした。(けれども)多くの猿が自分に慣れ親しまなくなることを心配したので、まず猿をだまして次のように言った、「お前たちに木の実を与えるのに、朝には三つ、夕方には四つずつにしたら、どうだ足りるか。」と。多くの猿は皆、立ち上がって怒った。そこですぐに「お前たちに木の実を与えるのに、朝には四つ、夕方には三つずつにしたら、足りるか。」と言った。(すると)多くの猿は皆、ひれ伏して喜んだ。

 物事において賢者と愚者がお互いに言いくるめ合っていることは、すべてこのようなものである。聖人が自分の知識を用いて愚かな人々を言いくるめているのは、あたかも狙公が知恵でもってたくさんの猿をだましたようなものである。(聖人も一皮むけばこんなものだ)。名目と実質は大差ないのに、猿たちを喜ばせたり怒らせたりしているのではないか。

 

【ポイント】
①故事成語としての「朝三暮四」の意味と文章との関係。

【答】朝三暮四の意味は
①目先の利益にばかりこだわり結果が同じであるのに気づかないこと。
②言葉巧みに話してだましごまかすこと。
という二つがある。

文章では、餌の木の実が朝に三個、夕方に四個であろうと、朝に四個、夕方に三個であろうと、結局一日合計七個であることは変わらない。
しかし、猿たちは目先の朝の木の実の数が多い「朝四暮三」という条件を喜んで受けた。

猿たちに焦点をあわせると①の意味になり、狙公のほうに焦点をあわせると②の意味になる。


 

②「解狙之意」の「能」の用法と意味。

【答】「能」は「く~す」と読み、可能の意味。文意は「狙公は猿たちの気持ちを理解することができる」という意味。



③「限其食」の「将」の用法と意味。

【答】「まさに~んとす」と読む再読文字で、「今にも~しようとする」という意味。

文意は「サルたちの食料を制限しようとした。」の意味。

 


④「恐衆狙之不馴己也」の「於」の用法と意味。

【答】「於」は対象を表す置き字。訓読では読まない。文意は「多くの猿が己(狙公)に対しなつかなくなることを心配して」という意味。

 


⑤「能鄙」とはどういう意味か。

【答】「賢者と愚者」のこと。ここでは、狙公が賢者で猿たちが愚者。猿たちが、狙公に言葉巧みにだまされることと賢者に愚者がだまされることが同じだといっている。



⑥「亦狙公之以智籠衆狙也」の「猶」の用法と意味。

【答】「猶」は「ほ~がごとし」と読む再読文字。文意は「あたかも(まるで)~のようだ」という意味。聖人が自分の知恵を用いて愚かな人々をだますことが、狙公が猿たちをだますのとちょうど同じようなものだという意味。



⑦「名実不虧,使其喜怒」の「使」「哉」の用法と意味。

【答】「使」は使役。「使AB」で、「AをしてBせしむ」と読み、「AにBさせる」と訳す。

文意は「名目と実質が違いがないのに、狙公が猿たちを喜ばせたり、怒らせたりしている」という意味。

「哉」は詠嘆。「かな」と読む。日本語の助詞なので、書き下し文ではひらがなにする。

 


定期テストの勉強法

まずは、訳を何度も読んで大意を覚えましょう。
つぎに、返り点の難しいところや、【ポイント】にあるような重要語句や重要句法のある文をしっかり覚えます。








2021年7月16日金曜日

漢文の勉強法「虎の威を借る狐」

 

定期テスト対策の漢文勉強法


虎の威を借る狐


【書き下し文】

(とら)百獣(ひゃくじゅう)を求めて(これ)()らひ、(きつね)()たり。狐()はく、「()()へて(われ)を食らふこと()かれ。(てん)(てい)我をして百獣に(ちょう)たらしむ。今子我を食らはば、()れ天帝の(めい)(さか)らふなり。()我を()って(しん)ならずと()さば、(われ)()(ため)先行(せんこう)せん。子()(あと)(したが)ひて()よ。百獣の我を見て、()へて()げざらんや。」と。(とら)()って(しか)りと()す。(ゆえ)(つい)(これ)()く。(じゅう)(これ)を見て(みな)()ぐ。(とら)(じゅう)(おのれ)(おそ)れて()ぐるを知らざるなり。()って狐を(おそ)ると()すなり。



【訳】

虎がけだものというけだものを探し求めては食べ、(あるとき)狐をつかまえた。狐が言うには、「あなたはけっして私を食べてはいけません。天の神が私をすべてのけだものの王にならせたのです。もしあなたがこの私を食べるならば、それは天の神の命令に背くことになってしまいます。あなたが私の言うことを信用しないならば、私はあなたの疑いを晴らすためにあなたの前に立って歩いてみましょう。あなたは私のあとからついてきてごらんなさい。けだものたちはすべて私の姿を見て、必ず逃げ出すでしょう。」と。虎は狐の言うことをもっともなことだと思った。そこで狐とともに出かけた。けだものはこれを見てみな逃げ出した。虎は自分を(おそ)れてけだものたちが逃げるのだということがわからなかった。虎は、狐を畏れてけだものが逃げるのだと思った。

 

【ポイント】

①故事成語としての「虎の威を借る狐」の意味とこの文章の内容について。

【答】他人の権勢かさに着て威張るつまらない人間のたとえ。


②「無敢食我也」の「無かれ」と「無敢~」の意味。

【答】「無かれ」は禁止の意で「~してはいけない」。

「敢へて」は「進んで~する」の意で、「無敢~」は「進んで(決して)~してはいけない」の意味。よって「無敢食我也」は、「私を進んで食べるようなことはしてはいけません」「決して私を食べてはいけません」の意味。

※「否定語+敢」を「決して~しない」と訳すのには異論がある。伝統的には「決して~ない」と訳すし、教育現場でもいくつかの漢和辞典でもそうしている。

しかし、語学的に見て「敢」は「自ら進んでするさま」を表し、否定語がつくと、「進んで~する」ことを否定することになり、「自ら進んでは~しない・~する勇気がない・しかたなく~する」という意味になる。江連隆『漢文句法ハンドブック』『全訳漢字海』『新字源』などでは、「決して~ない」はとっていない。


③「天帝使我長百獣」の「使」の用法と意味。

【答】「使」は使役。「使A」で、「AをしてBせしむ」と読み、「AにBさせる」と訳す。ここは、「天帝が私を百獣の王にさせた」という意味。


④「不信」の「以為」の用法と意味。

【答】「以為」は「以A為B」で、「Aを以てBと為す」と読んで、「AをBと思う」という意味。ここは、「私を信用ならないと思う」の意味。


⑤「敢不走」の用法と意味。

【答】「敢えて走げざらんや」と読み、反語の用法。「どうして逃げないことがあろうか、いやきっと逃げる」という意味。


⑥「獣見之皆走」の意味。

【答】「けものたちは、狐の後ろに従う虎の姿を見てみな逃げた」の意味。けものたちは、狐を恐れたのではなく虎を恐れて逃げたが、虎はそのことに気づかず、狐を恐れたものと思った。

これが「虎の威を借る狐」という故事成語の由来。

 

定期テストの勉強では、まず、訳を何度も読んで大意を覚えましょう。

つぎに、【ポイント】にあるような、返り点が難しい文や重要語句・重要句法を覚えましょう。



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漢文の勉強法 「推敲」

 

定期テスト対策の漢文勉強法


推敲


【書き下し文】

賈島(かとう)(きょ)(おもむ)きて(けい)(いた)り、()()りて()()し、「(そう)()月下(げっか)(もん)」の()()たり。(すい)(あらた)めて(こう)()さんと(ほっ)す。手を引きて推敲(すいこう)(いきお)ひを()すも、(いま)(けっ)せず。(おぼ)えずして大尹(たいいん)韓愈(かんゆ)(あた)る。(すなわ)(つぶ)さに言ふ。()()はく、「敲」の字()し。」と。(つい)(くつわ)を並べて(これ)を論ずること(ひさ)しくす。



【訳】

()(とう)科挙(かきょ)の試験を受けるために都にやってきて、驢馬(ろば)に乗りながら詩を作り、「僧は推す、月下の門」という句を作った。しかし、推を改めて敲にしようかと思い、手をさしのべて()したり(たた)いたりという動作をしてみたが、まだどちらとも決まらなかった。その時うっかり長官の韓愈(かんゆ)の行列に突き当たってしまった。そこで、賈島は事情を詳しく説明した。韓愈は、「敲の字のほうがよい。」と言った。二人はそのまま馬を並べて、長い間詩を論じあった。

 


【ポイント】

①故事成語としての「推敲」の意味と文章内容との関係。 

【答】推敲すいこう「詩文を作るのに字句をさまざまに考え練ること」。

文章では賈島が門を「推す」にするか「敲く」にするか悩んでいる。


② 「敲」の「欲」「作」の読みと意味。

【答】「推を改め敲とさんとほっす」。

欲は「ほっす」と読み、「~しようとする・~したい」の意。

作は「なす」と読み、「~にする」の意。


③ 「引手作推敲之勢」の意味。

【答】「手を伸ばして門を推したり敲いたりする動作をしてみること」。

門を「推す」にするか「敲く」にするか迷い詩の内容をじっさいにおこなっている様子。


④ 「決」の「未」の用法と意味。

【答】再読文字で、はじめは返り点を無視して副詞的に読み、二度目に返り点にしたがって「ず」と否定の助動詞として読む。意味は「まだ~しない」


⑤ 「覚衝大尹韓愈」の「不」の用法と意味。

【答】「不」は否定の助動詞で「~しない」の意味。

書き下し文ではひらがなで書く。

ここでの「不覚」の意味は「気づかずにうっかり~してしまう」。詩のことを考えていて、韓愈の行列がいるのに気づかずうっかりぶつかってしまったのである。


⑥ 「乃具言」の「乃」「具」の読みと意味。

【答】乃「すなわ(ち)」と読み、「そこで」の意味。

具「つぶさ(に)」と読み、「詳しく」の意味。


⑦「轡論詩」の意味と「遂」の読み。

【答】「賈島と韓愈は意気投合して、乗っていた馬の首を並べて(「轡」は、馬に手綱をつける道具)二人で詩を論じ合った。」

「遂」は「つい(に)」と読み、「こうして・そのまま」などの意。




まずは、訳を何度も読んで大意を覚えましょう。
つぎに返り点の難しいところや、【ポイント】にあるような重要語句や重要句法のある文をしっかり覚えます。









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