2021年7月16日金曜日

漢文の勉強法 「推敲」

 

定期テスト対策の漢文勉強法


推敲


【書き下し文】

賈島(かとう)(きょ)(おもむ)きて(けい)(いた)り、()()りて()()し、「(そう)()月下(げっか)(もん)」の()()たり。(すい)(あらた)めて(こう)()さんと(ほっ)す。手を引きて推敲(すいこう)(いきお)ひを()すも、(いま)(けっ)せず。(おぼ)えずして大尹(たいいん)韓愈(かんゆ)(あた)る。(すなわ)(つぶ)さに言ふ。()()はく、「敲」の字()し。」と。(つい)(くつわ)を並べて(これ)を論ずること(ひさ)しくす。



【訳】

()(とう)科挙(かきょ)の試験を受けるために都にやってきて、驢馬(ろば)に乗りながら詩を作り、「僧は推す、月下の門」という句を作った。しかし、推を改めて敲にしようかと思い、手をさしのべて()したり(たた)いたりという動作をしてみたが、まだどちらとも決まらなかった。その時うっかり長官の韓愈(かんゆ)の行列に突き当たってしまった。そこで、賈島は事情を詳しく説明した。韓愈は、「敲の字のほうがよい。」と言った。二人はそのまま馬を並べて、長い間詩を論じあった。

 


【ポイント】

①故事成語としての「推敲」の意味と文章内容との関係。 

【答】推敲すいこう「詩文を作るのに字句をさまざまに考え練ること」。

文章では賈島が門を「推す」にするか「敲く」にするか悩んでいる。


② 「敲」の「欲」「作」の読みと意味。

【答】「推を改め敲とさんとほっす」。

欲は「ほっす」と読み、「~しようとする・~したい」の意。

作は「なす」と読み、「~にする」の意。


③ 「引手作推敲之勢」の意味。

【答】「手を伸ばして門を推したり敲いたりする動作をしてみること」。

門を「推す」にするか「敲く」にするか迷い詩の内容をじっさいにおこなっている様子。


④ 「決」の「未」の用法と意味。

【答】再読文字で、はじめは返り点を無視して副詞的に読み、二度目に返り点にしたがって「ず」と否定の助動詞として読む。意味は「まだ~しない」


⑤ 「覚衝大尹韓愈」の「不」の用法と意味。

【答】「不」は否定の助動詞で「~しない」の意味。

書き下し文ではひらがなで書く。

ここでの「不覚」の意味は「気づかずにうっかり~してしまう」。詩のことを考えていて、韓愈の行列がいるのに気づかずうっかりぶつかってしまったのである。


⑥ 「乃具言」の「乃」「具」の読みと意味。

【答】乃「すなわ(ち)」と読み、「そこで」の意味。

具「つぶさ(に)」と読み、「詳しく」の意味。


⑦「轡論詩」の意味と「遂」の読み。

【答】「賈島と韓愈は意気投合して、乗っていた馬の首を並べて(「轡」は、馬に手綱をつける道具)二人で詩を論じ合った。」

「遂」は「つい(に)」と読み、「こうして・そのまま」などの意。




まずは、訳を何度も読んで大意を覚えましょう。
つぎに返り点の難しいところや、【ポイント】にあるような重要語句や重要句法のある文をしっかり覚えます。









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