2021年7月17日土曜日

漢文の勉強法「朝三暮四」

 

定期テスト対策の漢文勉強法


朝三暮四


【書き下し文】

宋(そう)に狙(そ)公(こう)なる者あり。狙(そ)を愛し、之(これ)を養(やしな)ひて群(む)れをなす。能(よ)く狙(そ)の意を解(かい)し、狙(そ)も亦(また)公(こう)の心を得(え)たり。其(そ)の家口(かこう)を損(そん)じ、狙(そ)の欲(よく)に充(あ)つ。俄(にわ)かにして匱(とぼ)し。将(まさ)に其(そ)の食(しょく)を限らんとす。衆狙(しゅうそ)の己(おのれ)に馴(な)れざらんことを恐(おそ)るるや、先(ま)ず之(これ)を誑(あざむ)きて曰(い)はく、「若(なんじ)に芧(ちょ)を与(あた)ふるに、朝(あさ)に三(さん)にして暮(く)れに四(し)にせば、足(た)るか。」と。衆狙(しゅうそ)皆(みな)起(た)ちて怒(いか)る。俄(にわ)かにして曰(い)はく、「若(なんじ)に芧(ちょ)を与(あた)ふるに、朝(あさ)に四(し)にして暮(く)れに三(さん)にせば、足(た)るか。」と。衆狙(しゅうそ)皆(みな)伏(ふ)して喜ぶ。

 物の能(のう)鄙(ひ)を以(も)って相(あい)籠(ろう)すること、皆(みな)猶(な)ほ此(か)くのごときなり。聖人(せいじん)の知(ち)を以(も)って群(ぐん)愚(ぐ)を籠(ろう)するは、亦(また)猶(な)ほ狙(そ)公(こう)の知(ち)を以(も)って衆狙(しゅうそ)を籠(ろう)するがごときなり。名実(めいじつ)虧(か)けずして、其(そ)れをして喜(き)怒(ど)せしむるかな。

 


【訳】

 宋の国に猿飼いとよばれる者がいた。猿をかわいがって飼い育てていて、猿は群れを成していた。彼は猿が何を考えているか理解することができ、猿もまた、主人の心をつかんでいた。彼は自分の家族の食べ物を減らしてまでも、猿の食欲を満足させていた。(ところが)彼は突然貧乏になってしまった。そこで猿の食料を制限しようとした。(けれども)多くの猿が自分に慣れ親しまなくなることを心配したので、まず猿をだまして次のように言った、「お前たちに木の実を与えるのに、朝には三つ、夕方には四つずつにしたら、どうだ足りるか。」と。多くの猿は皆、立ち上がって怒った。そこですぐに「お前たちに木の実を与えるのに、朝には四つ、夕方には三つずつにしたら、足りるか。」と言った。(すると)多くの猿は皆、ひれ伏して喜んだ。

 物事において賢者と愚者がお互いに言いくるめ合っていることは、すべてこのようなものである。聖人が自分の知識を用いて愚かな人々を言いくるめているのは、あたかも狙公が知恵でもってたくさんの猿をだましたようなものである。(聖人も一皮むけばこんなものだ)。名目と実質は大差ないのに、猿たちを喜ばせたり怒らせたりしているのではないか。

 

【ポイント】
①故事成語としての「朝三暮四」の意味と文章との関係。

【答】朝三暮四の意味は
①目先の利益にばかりこだわり結果が同じであるのに気づかないこと。
②言葉巧みに話してだましごまかすこと。
という二つがある。

文章では、餌の木の実が朝に三個、夕方に四個であろうと、朝に四個、夕方に三個であろうと、結局一日合計七個であることは変わらない。
しかし、猿たちは目先の朝の木の実の数が多い「朝四暮三」という条件を喜んで受けた。

猿たちに焦点をあわせると①の意味になり、狙公のほうに焦点をあわせると②の意味になる。


 

②「能解狙之意」の「能」の用法と意味。

【答】「能」は「能よく~す」と読み、可能の意味。文意は「狙公は猿たちの気持ちを理解することができる」という意味。



③「将限其食」の「将」の用法と意味。

【答】「将まさに~んとす」と読む再読文字で、「今にも~しようとする」という意味。

文意は「サルたちの食料を制限しようとした。」の意味。

 


④「恐衆狙之不馴於己也」の「於」の用法と意味。

【答】「於」は対象を表す置き字。訓読では読まない。文意は「多くの猿が己(狙公)に対してなつかなくなることを心配して」という意味。

 


⑤「能鄙」とはどういう意味か。

【答】「賢者と愚者」のこと。ここでは、狙公が賢者で猿たちが愚者。猿たちが、狙公に言葉巧みにだまされることと賢者に愚者がだまされることが同じだといっている。



⑥「亦猶狙公之以智籠衆狙也」の「猶」の用法と意味。

【答】「猶」は「猶なほ~がごとし」と読む再読文字。文意は「あたかも(まるで)~のようだ」という意味。聖人が自分の知恵を用いて愚かな人々をだますことが、狙公が猿たちをだますのとちょうど同じようなものだという意味。



⑦「名実不虧,使其喜怒哉」の「使」「哉」の用法と意味。

【答】「使」は使役。「使AB」で、「AをしてBせしむ」と読み、「AにBさせる」と訳す。

文意は「名目と実質が違いがないのに、狙公が猿たちを喜ばせたり、怒らせたりしている」という意味。

「哉」は詠嘆。「かな」と読む。日本語の助詞なので、書き下し文ではひらがなにする。

 


定期テストの勉強法

まずは、訳を何度も読んで大意を覚えましょう。
つぎに、返り点の難しいところや、【ポイント】にあるような重要語句や重要句法のある文をしっかり覚えます。








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