◆俳句とは
俳句とは、五・七・五の十七音で自然や心情を表した短い定型詩です。
江戸時代には、芸術性が低く、「俳諧」と呼ばれていました。
◆俳句の決まり
俳句には、つぎの三つの決まりがあります。
1.五七五の十七音の定型
2.季語(季題)
3.切れ字
1.五七五の十七音の定型
俳句は、五七五の十七音の定型詩です。
五七五の定型から外れたものを「破調」といい、音数が多いものを「字余り」、少ないものを「字足らず」といいます。
[例]赤い椿 白い椿と 落ちにけり 河東碧梧桐
「赤い椿(あかいつばき)」が六音で字余りになっています。
字足らずの俳句はそれほど多くありません。
定型にとらわれず、自由に読んだものを自由律俳句といいます。
[例]咳を しても 一人 尾崎放哉
「せきを」「しても」「ひとり」と、三・三・三の九音で定型にとらわれない自由律俳句です。
2.季語(季題)
俳句では、一句にかならず一つの「季語」を入れます。季語とは、季節を表すことばで、動物・植物・年中行事などが多いです。
[例]遠山に 日の当たりたる 枯野かな 高浜虚子
「枯野」が冬の季語です。
俳句の季節は旧暦に基づくので、現在の季節感とはズレるばあいがあるので注意が必要です。
次のように覚えるとよいでしょう。
【俳句の季節】
1・2・3月=春
4・5・6月=夏
7・8・9月=秋
10・11・12月=冬
日時がはっきりしている行事などは、これで季語の季節が見分けられます。
たとえば、「ひな祭り」は3月3日ですから、春の季語とわかります。
近代以降の季語にとらわれない俳句を「自由律俳句」といいます。
また、一句に二つ以上の季語を入れるのを「季重なり」といい、禁じられています。
3.切れ字
意味や調子の上で大きく切れるところを「句切れ」といい、そこに使われる字を「切れ字」といいます。
切れ字の代表は「や・かな・けり」です。どれも感動や詠嘆を表すことばです。
切れ字のあるところが感動の中心(作者の言いたいこと)になるのがふつうです。
[例]啄木鳥や 落ち葉をいそぐ 牧の木々
「啄木鳥や」の「や」が切れ字です。ここで切れるので「初句切れ」の句です。
啄木鳥が秋の季語で、落ち葉が冬の季語ですから、季語が二つあるようですが、「や」がついている「啄木鳥」が感動の中心ですから、季語は「啄木鳥」のほうになります。
◆俳句の読解
俳句の読解問題では、俳句の内容を説明した鑑賞文を記号で選ぶ問題が頻出です。
次の手順で読解を進めましょう。
① わかりやすい季語の季節の説明をチェックする。
② 鑑賞文の内容と俳句の表現とを照らし合わせる。
試験ですから、解釈にある程度の客観性が求められます。
なんとなくではなく、選択肢の内容と俳句の表現との間に関係性(=根拠)があるものを選びましょう。
【練習問題】
次の俳句の鑑賞文としてふさわしいものを記号で答えなさい。
① 咳一つ赤子のしたる夜寒かな 芥川龍之介
② ままごとの飯もおさいも土筆かな 星野立子
③ わらやふるゆきつもる 荻原井泉水
ア むじゃきに遊んでいる子どもたちを温かい目で見つめている春の句
イ 日常的なことだが親にとっては大事件で、ヒヤリとする驚きと不安を詠んだ句
ウ ひらがなの柔らかさで冬のありさまを素直に詠んだ自由律の句
【解答】
①イ ②ア ③ウ
①は、寒い夜に赤子が咳をしたら、「親にとっては大事件」ですから、イ。
②は、「土筆」が春の季語。さらに、子どもたちが「おままごと」をしているので、「むじゃきに遊んでいる子どもたち」とあるアが正解。
③は、「わらや」「ふるゆき」「つもる」で、五七五の定型から逸脱しているので、自由律俳句です。また、すべてひらがなで表記されているので「ひらがなの柔らかさ」のウが正解です。
◆俳句のまとめ
1.五七五の十七音の定型
2.季語(季題)
3.切れ字
4.鑑賞文は客観的な根拠を探す
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