韻文では、さまざまな表現技法が使われます。
表現技法を知ることで韻文をよりよく味わうことができますし、試験でも問われることが多いのです。
ここでは、詩の主な表現技法をご説明します。
◆詩の表現技法
主な詩の表現技法には次のようなものがあります。
1.直喩(明喩)
2.隠喩(暗喩)
3.擬人法
4.体言止め
5.対句
6.反復法
7.倒置法
以下、例文とともに各表現技法を説明します。
1.直喩(明喩)
あるものを別の似たものにたとえる表現技法
たとえる表現が明示されている。
[例] 滝のような雨が降っている。(「ような」がたとえる表現)
2.隠喩(暗喩)
あるものを別の似たものにたとえる表現技法
たとえる表現が明示されない。
[例] 滝の雨が降っている。
直喩と隠喩の二つはセットで覚えるとよいでしょう。
二つの違いは「たとえる表現」を明示するかしないかという点です。
直喩のほうは、たとえの助動詞「ような」を明示し、「滝のような雨」と雨を滝にたとえています。
隠喩のほうは、たとえの表現が明示されず「滝の雨」と表現しています。これは、「滝の(ような)雨」というように、たとえの表現が隠れているから「隠喩」と覚えるとよいでしょう。
3.擬人法(活喩法)
人間以外のものを人間にたとえる技法
[例] 空が泣いている。
雨が降る様子などを「空が泣く」と表現しています。空は人間以外、雨を涙に見立てて泣いていると表現しています。
4.体言止め
文の最後を体言(名詞)でとめ、余韻を残す技法
[例] まあるくひかる空のお月さま。
「お月さま」という体言で文を終えています。ふつう、体言(名詞)は、主語などになるので、次にことばが続くばあいが多く、余韻が残ります。
5.対句
意味や構造が同じ文や句を並べる技法
リズムが良くなります。
[例] 空に鳥が歌い、海に魚がはねる。
「空に」と「海に」がともに修飾語、「鳥が」と「魚が」がともに主語、「歌い」と「はねる」がともに述語で、文法的構造が同じ文が並んでいます。
6.反復法
同じ語句を繰り返し用いる技法
[例] 咲いた、咲いた、咲いた、花が咲いた。
「咲いた」を4回も繰り返しています。
7.倒置法
ことばの順序を逆にして強調する技法
[例] かっこいいなあ、きみの自転車は。
「きみの自転車はかっこいいなあ」という文の主語と述語とを逆の順序にしています。「かっこいいなあ」を強調する効果があります。
例は省略しますが、他にも次のようにたくさんの表現技法があります。
対照法:違いのあるものを対比させ様子を鮮明にあらわすもの
引用法:詩の中に他人の詩やことばを引用するもの
転換法:直接本物を言わず関係のあるものでそのものをあらわすもの
省略法:ことばを省略し余韻をのこすもの
誇張法:じっさいよりも大げさに表現するもの
漸層法:しだいに意味を発展させ意味を強めていくもの
現写法:過去や未来の出来事を現在目の前で起きているように表現するもの
設疑法:疑わしくないものをわざと疑問のかたちにするもの
詠嘆法:感情を強く表現するもの
招呼法:その場にいない人がまるで目の前にいるかのように呼びかけるもの
擬態法:事物の状態や様子などを音声的にことばで表現するもの
問答法:二人以上の人物に問答させ作者の主張を表現するもの
このような表現技法を工夫することによって、詩に独特の印象を与えるのです。
詩を読むときには、表現技法を意識してみましょう。
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