2021年5月20日木曜日

韻文の用語・形式

 


◆韻文とは

詩・俳句・短歌などを「韻文」といいます。

韻文は、作者の感動を象徴的にことばに表現したものです。

今回は、韻文の用語と形式についてご紹介します。


韻文は、(1)用語、(2)形式、(3)内容 から次のように分類されます。

(1)用語

・文語詩:古文で書かれた詩

・口語詩:現代語で書かれた詩

 

(2)形式

・定型詩:各句や各行の音数が決まっている詩

・自由詩:各句や各行の音数が決まっていない詩

・散文詩:文章のような詩

 

(3)内容

・叙情詩:感情を中心に述べた詩

・叙景詩:景色を中心に述べた詩

・叙事詩:歴史上の出来事や事件を述べた詩

 

 


次の歌を例にして「用語・形式・内容」を具体的に説明します。


【例】奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき

 

『百人一首』の猿丸大夫の歌ですね。



【用語】

たとえば、「声聞く時ぞ」の「ぞ」は古文の係助詞、「悲しき」は古文の形容詞です。

このように古文のことばで表現された詩を「文語詩」といいます。


【形式】

韻文の学習において、散文詩は、ほとんどあつかわれません。

ですから、定型詩か自由詩かを見分けられるようにすることが大切です。

定型詩とは音数が決まっている詩でした。

音数とは、非常におおざっぱにいうと、ひらがなで表現したときの文字数のことです。

たとえば、俳句は「五・七・五」の十七文字の定型、短歌は「五・七・五・七・七」の三十一文字の定型です。

ちなみに、拗音(ようおん)=小さい「ゃ・ゅ・ょ」などは、「きゃ」で一音というように前の文字とセットで一音です。また、促音(そくおん)=ちいさい「っ」はそれだけで一音です。


さて、「奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき」の歌です。

ひらがなにすると、

 

おくやまに(五音)

もみぢふみわけ(七音)

なくしかの(五音)

こゑきくときぞ(七音)

あきはかなしき(七音)

 

となり、「五・七・五・七・七」の三十一音の定型に当てはまる「定型詩」となります。

 


【内容】

この歌は、「奥深い山に散った紅葉の葉を踏み分けて入っていくと鹿の声が聞こえる。その時、しみじみと秋のもの悲しさを感じるなあ。」という意味です。

「秋の悲しさ」という感情を述べた詩なので、「叙情詩」です。


じつは、韻文は、ほとんどが叙情詩なのです。

叙事詩は、伝説の英雄や神話などをうたった長文の詩で、ふつう学校教育ではあつかいません。叙景詩もほとんど見られないので、韻文といったら叙情詩と思っておいて大丈夫です。


 

というわけで、

奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声聞く時ぞ 秋は悲しき

「文語」「定型詩」「叙情詩」と分類できます。

 


◆まとめ

韻文の分類

【用語】文語詩・口語詩

【形式】定型詩・自由詩・散文詩

【内容】叙情詩・叙景詩・叙事詩



しっかり見分けられるようにしましょう。




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