漢字の指導をしていると生徒のまちがえる漢字には共通性があることがわかります。
それは、「同音異字」で「同じ構成部分を持つ漢字」をまちがえるのです。
たとえば、「寮・僚・瞭」などです。
これらは、すべて「リョウ」と読み、それぞれ「尞」の部分が共通していて非常にまぎらわしい。
つぎのような答案をときどき見かけます。
「明瞭」を「×明僚」と書いてしまう
「同僚」を「×同寮」と書いてしまう
わたしも学生時代に「まぎらわしいなあ」と思ったことがあります。
今回は、このようなまぎらわしい漢字の見分け方についてご紹介します。
「梅・松・桜・李」という漢字は「木」の部分が共通していますね。
この共通部分を「部首(ぶしゅ)」といいます。
「梅・松・桜・李」に共通する部分の「木」は、「きへん」という部首です。
これは、おもに木や木材製品に関係する漢字に使われています。
「梅・松・桜・李」は、ぜんぶ植物ですね。
漢字の構成方法のひとつに「意味」担当の部分と「音」担当の部分を合体させるというものがあります。
「枯」は「木がかれる」という意味なので、木に関係する部首の「木(きへん)」が使われています。
「枯」は、「枯渇(コカツ)」のように「コ」と読みます。「古」は「コ」という音なので、「古」が音を担当していることになります。
このように漢字には、意味を担当する部分と音を担当する部分とがあるのです。
さて、ここまできて冒頭のまちがえやすい漢字「寮・瞭・僚」に戻りましょう。
これらの漢字はすべて「リョウ」と読みます。
これらの漢字は、すべて形声文字です。
「尞」が「リョウ」という音を表す部分を担当しています。
では、それぞれの漢字の意味を部首から見分けてみましょう。
・「寮」の部首は、寮の上の部分の「ウ(うかんむり)」です。
「うかんむり」は、とがった屋根を表すことから「家の種類や状態・家の中」に関係する漢字に使われています。
・「僚」の部首は、僚の左側の「亻(にんべん)」です。
「にんべん」は「人(ひと)」と同じで「人間の状態・行動・性質」などを表す漢字に使われています。
・「瞭」の部首は、瞭の字の左側の「目(めへん)」です。「めへん」は、「目の状態や作用」などを表す漢字に使われています。
さあ、この部首の知識を使ってつぎの問題を解いてみましょう。
問題 つぎの傍線部のカタカナの部分の漢字を書きなさい。
1.簡単明リョウ。
2.大学のリョウに住む。
3.会社の同リョウと話す。
1.瞭 2.寮 3.僚
1.明瞭は「見た目がはっきりしているさま」です。
目に関係する意味だから「めへん」の「瞭」が答え。
2.大学の寮は「大学が用意した共同宿舎」です。
家に関係するものだから「うかんむり」の「寮」が答え。
3.会社の同僚は「仕事の仲間」です。
仲間はふつう人間ですから「にんべん」の「僚」が答え。
このように部首に注目することによって、まぎらわしい漢字を見分けることができます。
覚えにくい同音異字に出会ったら、漢和辞典を調べてみるとよいですよ。
◆まとめ
まぎらわしい同音異字は意味を表す部首で見分ける
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