2021年4月28日水曜日

同訓異字漢字の見分け方

まぎらわしい漢字の見分け方シリーズ、今回は同訓異字の漢字です。

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■目次

1.同訓異字の漢字とは

2.音読みと訓読み

3.同訓異字漢字の見分け方

4.まとめ

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◆同訓異字漢字とは

まぎらわしい漢字の中に同訓異字漢字というものがあります。

たとえば、「つとめる」と読む漢字にはつぎのようなものがあります。

・努める

・務める

・勤める

 

これらの漢字はどれも「つとめる」と読みますが、この読みを「訓読み」といいます。

 同じ訓読みをするのに漢字が違うものを「同訓異字」とよびます。

 今回は、これら同訓異字漢字の効果的な見分け方をご紹介しましょう。

 


◆音読みと訓読

漢字の読みには、音読みと訓読みとがあります。

〇音読み:中国語の発音にもとづいた漢字の読み方

【例】山「サン」 河「ガ」


〇訓読み:漢字の表す意味に対応する日本語をあてた読み方

【例】山「やま」 河「かわ」

 

日本には、もともと文字がなかったので、中国から漢字を輸入しました。

漢字の読みには、中国語の発音にもとづく音読みと、同じ意味を表す日本語のことばをあてはめた訓読みとの二つができました。


ところが、漢字の表す意味に対応する日本語がないということがありました。

たとえば、「会」「合」「遭」という漢字です。

それぞれ以下のように意味が違います。


会は「人と人が顔をあわせる」の意味。

合は「一致する・調和する」の意味。

遭は「思わぬことに出くわす」の意味。

 

ところが、これらの意味を日本語ではぜんぶ「あう」ということばで表していました。

ことばの上ではそれぞれを区別していなかったのですね。

 

それで、漢字を輸入したときに、「会・合・遭」にすべて「あう」という訓読みを当てました

 

その結果、「あう」の意味をこまかく区別して書く場合には、意味に対応した漢字を使い分けるようになり、訓読みはぜんぶ「あう」なのに、意味の違いで別の漢字が当てられることになってしまいました。

ややこしいですね。



◆訓異字漢字の見分け方

では、これらの同訓異字を使い分けるには、どうすればよいでしょうか。


問 つぎの傍線部の漢字を書きなさい。

1.ツトめて早起きする。

2.委員長のツトめを果たす。

3. 父は銀行にツトめている。


《見分け方》

1は、「努力」して早起きするから、努力の「努」

2は、委員長という役目は「任務」だから、任務の「務」

3は、銀行に仕事として「出勤」するから、「出勤」の「勤」


というように、その漢字を使う熟語と関係づけるのです。

見分けにくい同訓異字が出てきたら、その漢字を使う熟語といっしょに覚えるようにしましょう。



◆まとめ

同訓異字は同じ意味を表す熟語といっしょに覚える

 


同訓異字を探すには以下のサイトが便利です。

異字同訓チェッカー


 


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2021年4月27日火曜日

まぎらわしい漢字の見分け方

 漢字の指導をしていると生徒のまちがえる漢字には共通性があることがわかります。

それは、「同音異字」で「同じ構成部分を持つ漢字」をまちがえるのです。

たとえば、「寮・僚・瞭」などです。

これらは、すべて「リョウ」と読み、それぞれ「尞」の部分が共通していて非常にまぎらわしい。

つぎのような答案をときどき見かけます。


「明瞭」を「×明僚」と書いてしまう

「同僚」を「×同寮」と書いてしまう


わたしも学生時代に「まぎらわしいなあ」と思ったことがあります。

今回は、このようなまぎらわしい漢字の見分け方についてご紹介します。




◆漢字の部首

「梅・松・桜・李」という漢字は「木」の部分が共通していますね。

この共通部分を「部首(ぶしゅ)」といいます。

「梅・松・桜・李」に共通する部分の「木」は、「きへん」という部首です。

これは、おもに木や木材製品に関係する漢字に使われています。

「梅・松・桜・李」は、ぜんぶ植物ですね。


このように部首は、漢字の意味の部分を担当することが多いのです。


 

◆漢字の構成

漢字の構成方法のひとつに「意味」担当の部分と「音」担当の部分を合体させるというものがあります。

こういう漢字を「形声文字(けいせいもじ)といいます。


たとえば、枯れるの「枯」という漢字は形声文字です。

「枯」は「木がかれる」という意味なので、木に関係する部首の「木(きへん)」が使われています。

「枯」は、「枯渇(コカツ)」のように「コ」と読みます。「古」は「コ」という音なので、「古」が音を担当していることになります。


このように漢字には、意味を担当する部分と音を担当する部分とがあるのです。

 


◆同音異字は部首を目印にして見分ける

さて、ここまできて冒頭のまちがえやすい漢字「寮・瞭・僚」に戻りましょう。

これらの漢字はすべて「リョウ」と読みます。


これらの漢字は、すべて形声文字です。

「尞」が「リョウ」という音を表す部分を担当しています。


同音の形成文字は、意味の表す「部首」で見分けるとよいのです。


では、それぞれの漢字の意味を部首から見分けてみましょう。


・「寮」の部首は、寮の上の部分の「ウ(うかんむり)」です。

「うかんむり」は、とがった屋根を表すことから「家の種類や状態・家の中」に関係する漢字に使われています。


・「僚」の部首は、僚の左側の「亻(にんべん)」です。

「にんべん」は「人(ひと)」と同じで「人間の状態・行動・性質」などを表す漢字に使われています。


・「瞭」の部首は、瞭の字の左側の「目(めへん)」です。「めへん」は、「目の状態や作用」などを表す漢字に使われています。

 


さあ、この部首の知識を使ってつぎの問題を解いてみましょう。

 

問題 つぎの傍線部のカタカナの部分の漢字を書きなさい。

1.簡単明リョウ

2.大学のリョウに住む。

3.会社の同リョウと話す。

 


   ↓




   ↓




   ↓ 



 【解答】

1.瞭 2.寮 3.僚

 

【考え方】

1.明瞭は「見た目がはっきりしているさま」です。

目に関係する意味だから「めへん」の「瞭」が答え。


2.大学の寮は「大学が用意した共同宿舎」です。

家に関係するものだから「うかんむり」の「寮」が答え。


3.会社の同僚は「仕事の仲間」です。

仲間はふつう人間ですから「にんべん」の「僚」が答え。

 

このように部首に注目することによって、まぎらわしい漢字を見分けることができます。

覚えにくい同音異字に出会ったら、漢和辞典を調べてみるとよいですよ。



◆まとめ

まぎらわしい同音異字は意味を表す部首で見分ける




◆記事一覧



2021年4月26日月曜日

漢字の効果的な覚え方


世の中にはちょっと見るだけで漢字を覚えてしまうという人がいます。

なんとうらやましいことでしょう。

しかし、わたしも含めて、知らない漢字をなかなか覚えられない人もいるでしょう。

今回は漢字の効果的な覚え方をご紹介します。

 

画像は日本で最も画数の多い「たいと」と読む漢字。なんと84画もある。





◆漢字は書いて覚える

漢字はじっさいに練習帳などに書いて覚えるのが大切です。

特に画数の多い漢字などは、いろいろな部分が組み合わされていて複雑です。

見ただけでは、いざ書こうとしたときに、細かい部分の形を意外に思い出せないものです。

漢字の部分=各パーツをよくよく観察して書いて覚えましょう。

 

◆漢字を何度も書くのは危ない

上記のとおり漢字は書いて覚えるのがよいのです。

ところが、漢字練習帳などに20回も30回も漢字を書くのは、じつはあまり良いやり方ではありません。

人間の脳は、同じ作業を繰り返しているとだんだんと飽きてしまうのです。

ですから、何度も書くと逆に記憶に残らないこともあって、じつは危険なのです。

 

◆効果的な漢字の覚え方

漢字を覚えるのは、テスト(アウトプット)をするのが一番です。

脳の性質上、情報の取り入れ(インプット)よりも、取り出し(アウトプット)をするほうがよく記憶され、暗記には何倍も効果的があります。


わたしの生徒にも漢字練習をさせています。

初めは書き取りのプリントを宿題に出していました。

漢字を10回くらい書いて練習してくるプリントです。

しかし、練習はきちんとやってきているのですが、再テストになる生徒が毎回何人かいました。

けっして不真面目にやっているわけではないのに、なかなか覚えられないというのです。

そこで、つぎのような書き取り練習とテストができるプリントをつくり宿題にしました。


すると、今度はきちんとプリントを仕上げてきた生徒はテストで満点をとれるようになりました。

 じっさいのプリントをご紹介します。すでに答えが書いてありますが、使う過程を再現してみます。


1.プリントの表では、漢字を見ながら書き取りを4段おこないます。



解答の漢字を見ながら下の段に漢字を書きます。

「外堀→漫画→唯一」というように、横向きに書き進めるように指示しています。

縦に練習していくと、終わりのあたりで初めの漢字を忘れてしまうといけないからです。



2.プリントの裏では、プリントを折り曲げ解答を隠してテストをおこないます。


解答を見えないようにしてテストをします。

すぐ上の解答を見て答え合わせをします。

この生徒は「擁護・唯一・放浪・潰滅」が書けなかったので、赤ペンで解答を書き写しています。




3.間違えた問題はもう一度テストをおこないます。



一回目のテスト欄を折り曲げて隠して下の段にテストをします。

今度は全部書けるようになりました。



3回テストをすれば、どの生徒もだいたい全部の漢字を書けるようになります。

本番のテストの直前にもう一度テストをするとさらに効果的です。

 プリントでなくてもノートやルーズリーフに覚えたい漢字を書き出してテストをするとよいでしょう。


これは漢検の問題をノートを使ってテストしたものです。



解答を隠して下の段に何度もテストをしてあります。

何度練習したかや間違えた数もわかり便利です。


ぜひ、アウトプット勉強法を試してみてください。

 


◆まとめ

・漢字は部分の形に注意して書いて覚えるのがよい。  

・漢字の暗記にはテストを繰り返すのがよい。




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